EURO SELLERの為替・投資戦略ブログ

2005年6月の欧州憲法否決の際にユーロを売りまくった管理人の【新】為替・投資日記ブログです。くれぐれも投資行動は自己責任でお願いします。

2008年8月YTDヘッジファンド成績



8月までのヘッジファンドの成績の推移を確認する時期になりました。

8月は7月に続いて原油価格の続落が特徴的でしたが,エネルギーセクターは-2%台まで持ち直していますので売り転換が進んだということがわかります。一方,エマージング市場が引き続きマイナス圏をだらだらと低空飛行で損失拡大の方向で推移しています。中国やインド市場の成績だけでなく中東や南米市場もパフォーマンスが下がり続けているようです。ロングオンリー戦略ファンドとロング&ショート戦略は持ち直していますが今一歩プラス圏には届きません。オプション戦略ファンドとテクノロジーセクターファンドの回復でプラス圏のファンドは6つに増加しました。この6つの中でファイナンスセクターが8月はトップなのですが,9月に起こるであろう大波乱をこの時点では予期できていないはずですので9月の成績は良くないと思われます。次回をご期待ください。

1.ファイナンスセクターファンド 2.66% (7月に続いて巻き返して首位に)
2.オプション戦略ファンド 1.96% (ボラが上がると成績向上)
3.ヘルスケアセクターファンド 1.91% (引き続き手堅いディフェンシブ性を発揮)
4.モーゲージ組成ファンド 1.57% (首位は譲ったがプラス圏は維持)
5.企業買収ファンド 1.06% (少しプラスになったが成績は目立たず) 
6.テクノロジーセクターファンド 0.51% (急激な回復も前月の痛手は大きい)
7.ロング&ショート戦略ファンド −1.15% (回復途上もマイナス圏のまま)
8.ロングオンリー戦略ファンド −1.87% (回復途上もマイナス圏のまま)
9.エネルギーセクターファンド −2.39% (売り転換が進み損失をリカバリー中)
10.エマージング市場ファンド −4.57% (さらに損失拡大し最下位に)

8月は小康状態で,9月の大嵐の前の静けさという感じです。あまりに急激な変動があると一か月前の成績は意味を成しませんね。

脅しのポールソンと泣きのバーナンキ

(休日モード)

よく刑事の取調べには,情に訴える刑事とこわもてで脅したりする刑事がペアになっているのをテレビドラマで見たりしますが,本日のバーナンキの議会証言の文章が載りました。



Chairman Ben S. Bernanke's Testimony
Before the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, U.S. Senate
September 23, 2008


Despite the efforts of the Federal Reserve, the Treasury, and other agencies, global financial markets remain under extraordinary stress. Action by the Congress is urgently required to stabilize the situation and avert what otherwise could be very serious consequences for our financial markets and for our economy. In this regard, the Federal Reserve supports the Treasury's proposal to buy illiquid assets from financial institutions. Purchasing impaired assets will create liquidity and promote price discovery in the markets for these assets, while reducing investor uncertainty about the current value and prospects of financial institutions. More generally, removing these assets from institutions’ balance sheets will help to restore confidence in our financial markets and enable banks and other institutions to raise capital and to expand credit to support economic growth.

ポールソン財務長官の声明が脅しっぽいなら,バーナンキ議長の証言は泣きが入っていそうです。もちろん私の先入観だと思いますが,人物の醸し出す雰囲気が似たような証言でも違った印象を与えるのでしょう。金が必要だとは言っても金がないと経済が破綻するぞとは言わないところがバーナンキらしい…

「金融と経済に重大な結果」っていう表現はポリティカル・コレクトネスの典型ですね。

追記:
一方,バーナンキと違ってポールソンは23日も議会証言でたたかれ続けました。「おめーえ,GSから庶民とは桁違いにたんまりもらっているだろ。そんな守旧派に今の金融システムを守らせるにはいかんよ」という論調,「財務長官に全権委任なんてそんな金融独裁は自由の国アメリカの歴史の中で許されるべきではない」のような正論など大変受けの悪い議会からの反応でした。さすがのポールソンもしどろもどろになるところがあって,まるで金魚が呼吸困難で口パクやっているみたいでした。

火曜日まで休憩かも…



明日は休日と祝日の合間でもあり,本業も休みをとってリフレッシュすると思います。同時にこのブログも更新をお休みしたいと思います。明日の日経平均は金曜日のCME先物のレートを見ながら爆上げだと思いますので,市場参加される方は頑張ってください。

先週までの流れが大きく変わるとするならば,私自身も心身ともにリフレッシュして,先入観を持たないで新たに市場に参加したいと思います。

ドル円・ユーロドル・ドルスイスの展望

まず最初に,株式・為替・債券を問わずすべての市場関係者の皆さんおよび個人投資家の皆さん,9・11以来となる歴史的一週間を乗り切られたことは本当にお疲れ様でした。

先週の経過についてはあえてここで述べるまでも無く,為替は比較的小動きだったもののその他の動きはとてもダイナミックでした。株価なんかは一大キレット(登山用語で差し込むようなV字状に切れ込んだ岩稜帯のことを指します)を構成していましたし,インターバンク市場ではフェイル連続で事後処理に追われた方も多かったと思います。先行き予断を許しませんが気を引き締めていきたいと思います。



ドル円は,104円の後半を予測したのですが103円の半ばまで下がりました。しかし,長い下ひげをつけて107円台を回復しました。こういう下ひげは皆さんを不安にさせるでしょうが,強い下落圧力に打ち勝って買いあがってきた勢力がいることを自覚すれば彼らを味方にできるメリットがあります。彼らはまた103円台,104円台で頑張ってくれると期待できるからです。今週はやはり上値は重く先週の高値を越えるのは一苦労だと思います。よって,今週の上値は108円程度でリミットが来ると予測し,下値はさらに余裕を持って103円程度でサポートされると予測します。



ユーロドルは,1.40ドル台後半と1.45ドル台半ばの間で大きくふれました。前半はメリルの破綻の影響が欧州にも波及するのではないかという不安からドルが買われてユーロが売られ,後半はやはり米国の危機がより深いと見られてユーロが反転しました。いったん1.41ドル台に下抜けしたユーロドルですが元のレンジ相場に戻ったといえますが,今週は同じレンジ相場でも少しユーロのほうが優勢になる気がします。よって,今週の上値は1.47ドル程度と予測し,下値は1.4260ドル程度と予測します。ただし,欧州も米国もどっちもどっちという見方が強まりつつあり,実際にはもう少し膠着するかもしれません。



ドルスイスは,7月13日の週以来の10連続の陽線も,7月20日の週以来の9週連続の上値および下値の切り上げもどちらも達成できませんでした。しかし,現在の1.10フラン台前半で65週移動平均および一目均衡の雲に支えられて,陰線が現れたとしても心配はいらないと思います。ドル円の項目でも書きましたが,明確なサポートラインを見せながら上がっていくほうが直線的な上昇より,逆方向の急落が少なく安心できるのです。長期的にはドルのさらなる戻しを予測していますが当面は様子見が強いと見て,今週の上値は1.1280フラン付近で,下値も1.0950フラン付近と予測します。

9月は歴史的にも株価の安値を記録することが多いとか,サプライズ・イベントが多いという点で今年も例外ではありませんでした。10月になれば2008年3Qの決算月になりますので,実体経済の再確認となるでしょうが,それまでの残る一週は米国議会と政府の協調によって金融危機対策のスキームがスムーズに承認されるかどうかに焦点が当てられると思います。

ケツをまくったポールソン財務長官



nobinobiさんが,ここで一部引用してくださっていますが,こういうケツをまくる文章(*注1,2,3)は誰にでも書けるものじゃないですよ。

http://www.treas.gov/press/releases/hp1149.htm

詳しい説明はnobinobiさんに譲るとして,シンプルで力強い文章,それでいて意味がしっかり伝わる文章で事態が切迫していることへの危機感を率直に表明しています。リリースする文章全部にポールソンが自分で手を入れているであろうことは想像できます。

As a result, Americans' personal savings are threatened, and the ability of consumers and businesses to borrow and finance spending, investment, and job creation has been disrupted.
貯金への脅威や消費,ビジネス,雇用創出への壊滅的な影響で脅して…

The ultimate taxpayer protection will be the stability this troubled asset relief program provides to our financial system, even as it will involve a significant investment of taxpayer dollars. I am convinced that this bold approach will cost American families far less than the alternative-a continuing series of financial institution failures and frozen credit markets unable to fund economic expansion.
ここで税金を使わないほうがもっとコストがかかるぞと開き直る…

Right now, our focus is restoring the strength of our financial system so it can again finance economic growth. The financial security of all Americans their retirement savings, their home values, their ability to borrow for college, and the opportunities for more and higher-paying jobs depends on our ability to restore our financial institutions to a sound footing.
最後に締めでもう一度,いま金融システムを救わなかったら貯金も家もおしまいだと恫喝する…

この決意を議会で踏みにじったら「お前はそれでも米国民か」と言われそうですね。

ポールソン財務長官は風貌ではプーチン前大統領ほど怖くはありませんが,言葉では絶対引けを取らないでしょう。私は本業でこれほどまでにケツをまくったことはありませんが,小さな勝負では多少ケツをまくることもあります。もっと見習いたいです。

注1:上品な言い方をすると「不退転の決意を表明する文章」ですが,日本の政治家は不用意に「不退転」という言葉を使用するのでそれでは意味が伝わらないでしょう。
注2:語源としては,「ならず者が着物の裾(すそ)をまくってその場に座り込むところ」から来ていて,追い詰められて逆におどしたり開き直ったりする態度の意味です。当事者にとっては悪い意味では使いません。
注3:ネットでは「ケツをまくって逃げ出した」のように間違った用法もちらほら見かけますが,これは間違いです。

追記:
SkyNewsで生の声が放送されていましたのでリンクします。

全ては想定の範囲内ではという疑惑

Paulson, Bernanke Weighing New Plan, Schumer Says (Update1)

とうとう,RTC(Resolution Trust Corp:整理信託公社=破綻した貯蓄貸付組合の資産を処分・回収するため1989年8月に公的資産を投じて設立された機関)のお出ましになるとすると,リーマン・ブラザーズの破綻はRTC設立&公的資金の投入のための議会の説得材料に使われたとしか言いようがないですね。

=個別に救済資金を当てるのではなく,RTCの設立しかないでしょうと思わせる不安材料が必要だった
=そのような一時的な不安をもたらすためにある程度の規模の会社を破綻に追い込む必要があった
=AIGはつぶせないけど,リーマン・ブラザーズはそれに相応しい規模の会社だった
=つまりリーマン・ブラザーズは議会説得のための人身御供

もちろん日曜日の交渉決裂が最初から決まっていたのではなく,決裂後の破綻決定から木曜日までのシナリオが一本道で想定されていたのではということです。事実だとすると,まさに社員の方に置かれましてはお気の毒としか言いようがありません。


ドルが思ったより堅調な点についての感想

■ 今回のようなシステミックリスク時にはドルは基軸通貨であることがラッキー
とにかくドルが不足するのです。あっちの取引でもこっちの取引でもドルが入用ですから。なけなしの他通貨さえドルに変える必要が生じると,ドルが極端に安くなる理由がありません。

■ ユーロ・システムに対する疑問が逆に生まれてくる
1.欧州でAIGのような金融機関が出てきたらECBが融資するのでしょうか,それとも各国政府が融資するのでしょうか。各国政府が融資する場合には原資があまりありません。自国国債を発行してもそんなにも誰も買ってくれないですからたぶんECBが融資するのでしょう。
2.融資すべきかどうかの判断はだれがするのでしょうか。たとえスペインの銀行でも欧州議会がするのでしょうか。それともそれともスペインの政府や議会がするのでしょうか。等々疑問だらけです。
緊急融資に関する承認権限のプロトコルが決まっていないとしたら,これは行政と金融を分離したユーロ・システムの重大な欠陥でしょう。そうなっていないことを願いますが,あるいは,みんな薄々気づいてはいても怖くて言い出せないのかも知れません。

■ ECBの融資も足りない分はFEDから借りることになる
だとすると,やっぱり世界は米国を中心に回っているとしか思えないですね。

追記:
そんななか,9月のフィラデルフィア連銀景況指数のBusiness Outlook Surveyは改善(-12.7 → 3.8)してきました。なんか,実体経済は大丈夫だよと訴えているようで痛々しく感じてしまいます。

想像上のやりとり

A銀行:いやあ預金はあるのに困ったな。優良貸し出し先がないよ。
LB証券:うちは主にAlt−Aで運用してます。サブプライムとは違いまっせ。あとNYに商業用不動産がたんまりあります。お金貸してくんない?
A銀行:無担保債権だと不安だな。その分利息高いですけどいいですか。
LB証券:信じてくれといってもそのままじゃあ困りますね。MC銀行さんがうちのCDSの売り手になるのでドーゾ。
A銀行:CDS?そうですか。じゃあプレミアムはなるべく低く抑えてくださいよ。その分利息も下げられますからね。
MC銀行:うちはコーポレート専用銀行ですからね。ちゃんと企業評価は万全です。去年からあまりプレミアムは下げられませんが,それなりに勉強はしときます。
A銀行:いやあ,デリバティブっていいな。参照機関以外がリスクテイカーになってくれるのでリスク分散できて,審査も楽だし。一件落着…
LB証券:皆さん,ありがとうございます。これで当面の資金繰りが…ふふふっ。
A銀行:なんか言いましたか?
LB証券:いいえ,何でもないです。

【約半年が経った…】

(2008年9月15日朝)
A銀行:プギャあ,MC銀行さん,デフォルト処理お願いします。m(__)m
MC銀行:プギャあ,うちは60%肩代わりです。(T_T)/~~~
LB証券:こんなはずではなかったんですが…皆さん,すいません。でも無担保ですよね。さようなら。

※なお文中に登場する会社のイニシャルは仮名であり,実在のあるいは実在した金融機関とは関係ありませんのでご注意ください。

ガイスナーNY連銀総裁は救済処理のスペシャリストだった



Geithner Cajoled Banks to Help Each Other, Too Late for Lehman

ここを見ると,ガイスナーNY連銀総裁は,1997年の韓国の金融危機の際に破綻の危機にあった銀行救済のアイディアを出したその人だったと分かります。そして,今回もそのゆかりでリーマンの救済のために韓国の金融機関からの援助を求めに行ったんですと…1へえーーっ
まあ,今回は断られたわけですが…

プレッシャーに強く冷静で思慮深い,物事をいろいろな角度から見ることができる人のようで,財務省で政策決定のためのアドバイザーであったことが現在までの仕事の助けになっているようです。2へえーーっ

ポールソン現財務長官の仕事の大変さの一番の理解者であり,党派を超えてバラク・オバマから高く評価されているので,民主党が大統領選挙に勝ったら次の財務長官候補なんだとか。3へえーーっ

エコノミストやバンカーの経験は無く,3年間プライベートセクターで働いたあと,財務省に入省し,NY連銀に来たのは5年前。13年間の財務省での仕事,2年間のIMFでの仕事を通して,金融政策に関するぶれない基本原則や威厳の大切さを学んだそうです。4へえーーっ

前途多難な米金融業界ですが,ポールソン,バーナンキ,ガイスナーの3人が協力してその安定性と秩序のための奮闘しているとわかって少し安心させられた記事でした。

追記:こんな若いテクノクラートが活躍していたら,やっぱりミシュキン理事がCBSに戻りたくなる一因になったかもしれませんね。

FOMC statement, September 16, 2008

FOMC statement

Release Date: September 16, 2008

For immediate release

The Federal Open Market Committee decided today to keep its target for the federal funds rate at 2 percent.

Strains in financial markets have increased significantly and labor markets have weakened further. Economic growth appears to have slowed recently, partly reflecting a softening of household spending. Tight credit conditions, the ongoing housing contraction, and some slowing in export growth are likely to weigh on economic growth over the next few quarters. Over time, the substantial easing of monetary policy, combined with ongoing measures to foster market liquidity, should help to promote moderate economic growth.

Inflation has been high, spurred by the earlier increases in the prices of energy and some other commodities. The Committee expects inflation to moderate later this year and next year, but the inflation outlook remains highly uncertain.

The downside risks to growth and the upside risks to inflation are both of significant concern to the Committee. The Committee will monitor economic and financial developments carefully and will act as needed to promote sustainable economic growth and price stability.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; Christine M. Cumming; Elizabeth A. Duke; Richard W. Fisher; Donald L. Kohn; Randall S. Kroszner; Sandra Pianalto; Charles I. Plosser; Gary H. Stern; and Kevin M. Warsh. Ms. Cumming voted as the alternate for Timothy F. Geithner.

※全員一致の据え置きで,さすがに今回はフィッシャーも利上げを主張しなかった。NY連銀総裁は多忙のため(?)代理による投票。市場の催促はFOMCによって退けられ,FEDは面目を保ち市場は間違えた。結果的には一番混乱がない結果だろう。

■ 金融市場の混乱を最初に持ってきて先回よりニュアンスを重くした。
■ 付随する労働市場の弱さがより強調された。
■ インフレ期待の台頭の文言が無くなった。(フィッシャーの利上げ撤回の理由?)

あとは,AIGに焦点が移るだろうね。

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管理人のニックネームEURO SELLERの由来は,2005年6月の欧州憲法の否決の際にユーロを売りまくったことからきています。もう一つのシステムトレードのブログはこちらです。

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