EURO SELLERの為替・投資戦略ブログ

2005年6月の欧州憲法否決の際にユーロを売りまくった管理人の【新】為替・投資日記ブログです。くれぐれも投資行動は自己責任でお願いします。

ドル高の政治的演出の意味



Paulson, Lagarde, Kudrin Back `Strong' Dollar at G-8 (Update2)

ポールソン財務長官がまたドル高支持のメッセージを残していますが,6月に入ってからのバーナンキFRB議長および長官のメッセージは,政治的にも強硬なものになってきました。ここで,そのような発言の背景や彼らが何を考えているのかなどについて考えてみたいと思います。

■ 発言の時期について
ドルが本当に弱かった2月に今回のような発言をしたら,市場はその弱みに付け込む羽目になりさらにドル安になったことでしょう。ポールソンは中央銀行や財務省が直接介入して為替市場に広範囲な影響を及ぼせるとは考えていないと思います。ドルが反転し始めたのを後押しするような形で発言するのが一番効果的だと考えているのでしょう。ポールソンはGS出身の金融のプロとして綿密に計算しつくされた上で今回の発言をしています。

■ 発言の役割について
しかし,それ以上に今回の発言の時期はその役割によるところが大きいでしょう。2月にはポールソンは「ドル安は米国の輸出を促進する」とまで言って,逆にドル安を容認していました。2月との状況の変化は,これ以上原油価格が上がるのは容認できないところまで来たというのがあるでしょう。2月半ばには原油が1バレル100ドルを越えたばかりだったのです。商品価格の高騰は,ドル安による輸出増加のメリットを相殺するかそれ以上に米国実体経済を停滞させるインフレにつながります。そして,早期の利上げをする必要が生じると,金融機関の再生にさらに時間がかかるでしょう。また,引き続きなんとかバスケット・ペッグ制をとっている中東諸国も自国通貨がドルとともに下落していくのをこれ以上見過ごすならば,彼らの国のインフレ率にも影響を与えます。

■ 中東合意があった!?
今回の発言のまえにポールソン自身が中東歴訪していることをニュースは報じています。なんらかの中東諸国との政治的合意があったことは予想できます。つまり「ドルペッグを止めても自国インフレは止まらないことを理解してもらうかわりにもう一度ドルを強くします。」という合意です。

6月2日ドーハにて:
Paulson Signals Gulf to Keep Peg Even as Prices Climb (Update1)
6月1日アブダビにて:
Paulson Says Dollar Pegs Don't Worry Mideast Leaders (Update5)

Middle East Ahead: Gulf Calendar of Events Through August
【Friday, May 30 】
Mideast: U.S. Treasury Secretary Henry Paulson Visits Saudi Arabia, Qatar, Kuwait and the United Arab Emirates. To June 2.
【Monday, June 2 】
U.A.E.: Islamic Project Finance conference, at Park Hyatt Hotel, Dubai, to June 3.
U.A.E.: Dolphin Energy Press Conference about Environmental Impact at Hilton Hotel Abu Dhabi. Starts 10am.

■ FRB議長まで為替政策に巻き込んで良いのか
一連のポールソンの発言では,バーナンキFRB議長とも緊密に連絡を取り合っていると踏み込んだ発言がなされました。また,バーナンキ議長も異例にも「為替市場を注視していく」と発言しました。

Bernanke Says Rate `Well Positioned,' Watching Dollar (Update5)

この発言はさまざまなブログで議論されています。なぜなら中央銀行は為替のための金融政策を取ることはないからです。特にFEDの場合は雇用の安定とインフレの抑制という2大目標を今後も追求していくでしょう。それで,この「強いドル」への言及はやはり商品市場の高騰を懸念しているFEDのインフレ政策の一環と捉えるべきです。これは,ある意味バーナンキ議長の失言かもしれませんが,政府主導のドル高政策の側面射撃に過ぎなくて,FEDが痛手を蒙ることはないと考えます。この意味で,今後もポールソン長官は「強いドル」についてたびたび言及し政府主導をアピールしていくことでしょう。ドル高がうまくいかなかったら彼が責任を取るのでしょう。

参考:
Fed Not in It to Back a `Strong Dollar' Policy: John M. Berry

***

とりあえず疲れたのでいったんエントリを終わります。

5月消費者物価指数は大幅上昇

ユーロ2008の観戦のためにどうもエントリが遅めです。m(__)m

U.S. Economy: Consumer Prices Increase, Sentiment Deteriorates

5月消費者物価総合指数:0.2% -> 0.6%(予想:0.5%)
5月消費者物価コア指数:0.1% -> 0.2%(予想:0.2%)
6月ミシガン大学消費者信頼感指数:59.8 -> 56.7(予想:59.5)
※物価上昇のペースは4月に下がった関係で5月に上昇。こういうのは統計のブレです。ただし,これはすでに終わった5月の統計であり,6月になってからドルが上昇し,原油価格が調整されていますから,あまり気にする必要はありません。

ドルは引き続きユーロに対して強めで,今夜のNY市場はプラスで推移しています。指標というよりはむしろ原油価格の調整によるところが多いのでしょう。

それにしても2005年で欧州憲法を否決した国フランスとオランダがEURO2008で対戦しているその日に,アイルランドでまたもリスボン条約が否決されるというのは単なる偶然とはいえ,EUが政治的な主権を得ることはまたもや挫折させられた事実は変えようがありません。ECBは各国の雇用政策と協調して何かをすることは引き続きできません。

***

ユーロドルは節目の1.53ドルジャストまで来ました。ここを割ると1.51ドルまで下落する可能性が高くなります。来週は先物・オプションのExpiration Dateを控えていますので,原油価格がまた変動することが予想されます。どさくさにまぎれて1.53ドル割れが達成されたら見ものです。

EU憲法の国民投票再び

フランスとオランダの国民投票でEU憲法が否決されたのが3年ほど前…
今年は改定されたリスボン条約という形で,アイルランドで久しぶりに国民投票があります。

Irish Voters May Scupper EU Treaty as Opposition Grows: Video

もはやEUに政治的意義を求めないただの欧州共通の市場にすぎないという懐疑派や批准すると税金が上がるという積極的な反対派がここへ来て巻き返しており,批准かどうかの予測は流動的です。

リスボン条約で国民投票を行うのはEU加盟27カ国中,憲法上の定めがあるアイルランドだけ。これまでに17カ国が議会で批准しており1カ国でも批准しなければやっぱり条約は発効しない。

投票結果でユーロドルはどうなるか?二番煎じには反応しないのかどうか?
全く予断は許しませんが,日本時間の13日夜が楽しみです。
(日銀金融政策決定会議は華麗にスルー…)

***

今日はDoblogのサイトが調子が悪く,こちらを先にアップします。

2008/06/14 03:44追記:
反対派の追い上げで,リスボン条約は否決されました。
EU Treaty Is Vetoed in Ireland, Dooming Bid for Unity (Update1)
ユーロベア派は今回の否決を理由に1.53ドルを割らせたかったと思います。今のところなんとか何とか持ちこたえています。割ると1.51ドルまではサポートはありません。

米5月小売売上高はまたも予想以上

U.S. Economy: Retail Sales Gain More Than Forecast (Update2)

5月小売売上高(前月比): 0.4% -> 1.0% (予想:0.5%)
5月小売売上高(前月比・除自動車): 1.0% -> 1.2% (予想:0.7%) 

戻し税の効果か,慢性的な消費性向かまたは物価の値上がり分が素直に反映されただけなのか,あるいはその全部か…株式市場も久々に指標を好感して上昇しましたが後場は尻すぼみです。

ドル円は久々に108円を突破してすこし戻しました。ドルスイスも1.05フラン直下まで上がってから垂れてきました。ドルスイスは,1.05フラン越えと特に1.06フラン越えに意味がありますので,共に直下で戻り売り(ストップは50PIPS上程度)か,1.06フランについては直上での逆指値が有効と思います。

ザイFX:記事アップのお知らせ(その2)



ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ社のザイFX!サイト様から,第二回目の記事がアップされました。以下のリンクです。

FXブロガー・EURO SELLERさんに聞く(2) 〜トレンドラインを使わない理由〜

実は斜めのトレンドラインは,上下の縮尺で急にもなだらかにも見えてしまうという人間の心理を惑わす側面を持っています。さらには,実際にはポジションを切るのには最後の投げ場を見つけるのにしか役立たないのです。

ドル円の予測の記事まであと1,2回は引っ張る模様ですので,取材時のブル予測がどうだったか期待してください。

ドル高の加速を見極める



【ドル円】
下値予測は大はずれ,上値もあっさりと107円台へ上昇し,既にドルが強い

【ユーロドル】
上値予測は近似値,下値はあっさりと1.54ドル台へ下落し,既にドルが強い

【ドルスイス】
上値1.0400フラン,下値1.0150フランのレンジ予測が継続中

これからわかることは,今はドルスイスのレンジをブレイクしたほうについていけばよいということです。ドルスイスが1.0400フランを明確に越えていくなら,ドル円買いやユーロドル売りが基本です。逆にそれが無理なら,短期的にドル円は戻り売り,ユーロドルは押し目買いができそうです。

相場がわからない時はドルスイスを見る。これはフランがユーロのように人気急騰通貨でも円のようにポジションの偏る通貨でも無いことから来る「ドル評価のための経験則」のようなものです。

ザイFX:記事アップのお知らせ(その1)



このDoblogのエントリがきっかけで,ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ社のザイFX!サイト様から取材を受けることになり,第一回目の記事がアップされました。以下のリンクです。

FXブロガー・EURO SELLERさんに聞く(1) 〜FXのトレードで成功するカギは?〜

いつも書いていることとあまり変わりがないつもりですが,少しは穏便になっているかもしれません。今後,数回にわたって掲載されると思いますが,取材は5月下旬だったので予測が当たらなくてもケンナチャヨ。

ポールソン財務長官がドル高配慮発言



Paulson Says Intervention Is Never `Off the Table' (Update1)

とうとうドル安排除のためには,為替介入もにおわすような発言。また,バーナンキ議長などとも緊密に連絡を取り合って政策連携を取ることも示唆…

今回はいつものリフレイン(念仏あるいはドル高マントラとも言う)ではないようです。それなら2月の東京G7ではなぜ寝ていたのかね。

ドル円・ユーロドル・ドルスイスの展望

先週は,木曜日まで普通にドル堅調で推移して,金曜日の雇用統計で全てのストーリーが霧散した1週間でした。原油価格が129ドル台から138ドル台へ上昇したのも,ユーロドルが1.55ドル台から1.57ドル台へ上昇したのもこの金曜日一日のことでした。



ドル円は,そんな中にあって円の弱さから比較的ドル安が円高につながらなかった通貨ペアです。火曜日から木曜日までの上昇が金曜日の下落を補って余りありました。上値は106円を目指すと言うのはそのとおりになったわけですが,下値は103円でのサポートどころか104.91円までしか落ちず,最弱通貨の円の地位は揺るぎなさそうです。

今週の上値は,再び106円突破はさすがにしんどいと見て105.80円程度まで,下値は,103円でのサポートを割ればさらに大きく下落して101.80円程度までを予想します。上値は重いのですが,下値は月曜日の窓空けと月曜日の東京市場での株価の下落の影響を受けたフォロースルーがどうなるかによって変わってくるでしょう。


ユーロドルは,原油価格との相関が非常に強いので金曜日に急上昇しましたが,それだけでなくトリシェ総裁が木曜日に来月の利上げもありうると示唆したために,前日から原油価格とともにユーロドルも上昇しました。

ユーロドルの動意は,月曜日の東京市場の後場が終わるころの日本時間の14:45に発表されるスイスの失業率に注目したほうが良いでしょう。この指標が予想通りであれば,先にドルスイスから崩れそうです。(詳しくはドルスイスのところで説明しますが)ドルスイスが下値を続ければ,ユーロドルも直近高値の1.5817ドルは早期に越えてくるでしょう。

今週の上値は,まず1.5817ドルを越えるところから始まりますが,その後は1.58ドル台と1.59ドル台に明確なもみ合いの形跡を見ることはできないので,一気に1.60ドル近くまで上昇する可能性があります。下値は,原油価格が再び崩れることを前提として1.5540ドル程度です。



ドルスイスは,木曜日まではユーロドルとの逆相関の割にはドル高にならず小幅な動きでした。そして金曜日にフラン高になるのですが,1.0220フランあたりのサポートは予想通り効いていたのですが,金曜日のNY時間遅くに力尽きて1.0191フランまで下落です。

今週の上値は,金曜日の高値付近の1.0400フランまでが精一杯だと思います。仮に越えても1.0520フランの直近高値を越える勢いは無いと思われます。下値は,先週言及したとおり1.0150フランがこの先サポートされないようなら,次は1.00フラン付近まで強いサポートが無いようです。ですから,スイスの失業率が出ても市場があまり過敏に反応しないなら狭いレンジ相場が続くでしょうが,ユーロドルの1.60ドルと同じく1.00パリティに向かう動きが加速します。1.0150を割ったときのショートポジションや再び1.0220を越えてきたときにロングポジションは比較的わかりやすい戦略です。

最後に月曜日の指標のいくつかを日本時間表記でCONSENSUS(市場予測),PREVIOUS(前月の指標値)とともに書いておきます。個人的にはユーロ2008が始まっていてそちらへの興味が尽きないのですが,そういうイベントがある時期のユーロ圏およびスイス圏の経済が悪いとは考えにくいですね。

Currency Event JST CONSENSUS PREVIOUS
CHF Unemployment Rate (MAY) 14:45 2.5% 2.6%
CHF Unemployment Rate s.a. (MAY) 14:45 2.5% 2.6%
EUR German Trade Balance (Euros) (APR) 15:00 15.6B 16.7B
EUR German Current Account (Euros) (APR)15:00 14.7B 17.2B
EUR German Imports s.a. (MoM) (APR) 15:00 0.2% 0.8%
EUR German Exports s.a. (MoM) (APR) 15:00 0.5% -0.5%
GBP PPIndex Input s.a. (MoM) (MAY) 17:30 2.6% 2.4%
GBP PPIndex Input n.s.a. (YoY) (MAY) 17:30 23.8% 23.3%
GBP PPIndex Output n.s.a. (MoM) (MAY) 17:30 0.8% 1.4%
GBP PPIndex Output n.s.a. (YoY) (MAY) 17:30 7.9% 7.5%
GBP PPIndex Output Core s.a (MoM) (MAY) 17:30 0.4% 1.0%
GBP PPIndex Output Core n.s.a. (YoY)(MAY) 17:30 4.8% 4.6%
USD Pending Home Sales (MoM) (APR) 23:00 -0.3% -1.0%

金曜日の事後処理

先週の金曜日の雇用統計は予想外の悪化でしたので,月曜日以降にどうしようかと考える場合もあるかと思います。以下に思いつく点を上げておきます。

■ 金曜日の雇用統計以前の取ったポジションのうち,根拠となる(特に短期のトレンドに関する)シナリオに狂いが生じている場合には,含み益・含み損の状態にかかわらず,月曜日中に決済することを考えたい。
■ 今後のドルの動きを追うにはドルスイスかユーロドルを見ること,これはドル円では円が弱いためのドルの強弱を見間違う可能性があるため。
■ VIX指数が急上昇し,23.72の終値が週末に観測されたので,どこでピークをつけても良いように出動のための現金保有率を増やしておきたい。
■ 先物関係のオプションの期限の来る月の第3週(6月16日に始まる週)は,大きな相場の転換点になる可能性があり,特に注意して相場に臨むようにしたい。
■ 全般的に一方的過ぎるシナリオは今後も想定しないで,常に逆に動いたら自分はどうするかを考えておくようにしたい。たとえば,原油価格の更なる上昇に期待する場合でも,プットを買うなどの方法でヘッジを掛けておきたい。

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管理人のニックネームEURO SELLERの由来は,2005年6月の欧州憲法の否決の際にユーロを売りまくったことからきています。もう一つのシステムトレードのブログはこちらです。

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