EURO SELLERの為替・投資戦略ブログ

2005年6月の欧州憲法否決の際にユーロを売りまくった管理人の【新】為替・投資日記ブログです。くれぐれも投資行動は自己責任でお願いします。

芸風を徐々に深化させる白川日銀総裁

本日の日銀政策金利決定会合は言うまでもなく金利は据え置きでしたが,中長期的な物価安定の「理解」という言葉が説明されまして,世間的には(一部経済財政担当相さまを始めとして)日銀のスタンスが変わったと理解されております。(これ自体は悪いことではありません。)

当面の金融政策運営について(現状維持、12時13分公表)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k091218.pdf


現状の景気判断や見通しなどは日銀短観を踏まえたものですから,ほとんど世間の関心はなく,デフレとその周辺の問題に対する日銀のスタンスが注目されております。

>5.日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識している。そのために、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針である。金融政策運営に当たっては、きわめて緩和的な金融環境を維持していく考えである。
※日銀はデフレ容認をしていませんと明示しました。「きわめて緩和的な金融環境を維持していく考え」をいつまでと言わないところが日銀クオリティでして,時間軸政策と取られかねない表現をことごとく排除する姿勢には変わりはありません。(FRBですら"extended period"とか言うのですが…)

>6.本日の金融政策決定会合では、上記認識のもとで、「中長期的な物価安定の理解(以下、『理解』(注2))」について検討を行った。その結果、委員会としてゼロ%以下のマイナスの値は許容していないこと、及び、委員の大勢は1%程度を中心と考えていることを、より明確に表現することにより、物価の安定に関する日本銀行の考え方の一層の浸透を図ることが適当であるとの結論に至った。
※ここでも日銀は物価がマイナスなのは困ると言っているわけで,日銀の金利政策でこれ以上できることはないと思っている場合でも政府に訊かれたら,いわば戦意がないボクサーでもレフリーに訊かれたらファイティングポーズを取るようなものであり,日銀も…(以下略)

>7.このため、「理解」については、「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えている。」とすることとした。
別紙まで用意して「中長期的な物価安定の理解」を説明しております。最初の言及以降はカッコつきの「理解」などとしますと,日銀の「理解」と世間の「理解」は違うのではないかと思われますが,やっぱり違うようです。

【日銀の理解について】
これまで:「消費者物価指数の前年比でゼロ─2%程度の範囲内にあり、委員毎の中心値は大勢として、1%程度になっている」
今回:「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えている」

実質,この「理解」が何か変わったとは思いませんね。ゼロという言葉を削除したことが広い意味での時間軸政策と市場では受け止められているようですが,「事実上の時間軸効果の強化」とまでは個人的には思えないのですが…

むしろ,日銀国語辞典におけるこの「理解」とは

中長期的な物価安定の「理解」=中長期的な物価安定とは「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心となっている」 と「理解」して,「目標」とはしないこと。

なんだろうと思います。また,「理解」が一人歩きして「目標」に脳内変換されることをたぶんに未必の故意みたいに狙っているのかと…

【世間の理解について】
日銀のデフレファイター姿勢を歓迎=菅経済財政担当相
>「日銀が(CPI前年比で)プラス1%を中心にした、実質的なインフレターゲットとも受け止められるものを示し、デフレファイターを示してくれてよかった」と歓迎した。さらに日銀の決定を受けて「為替も90円に円安が進んだ」と評価した。

やっぱり,さっそく脳内変換しちゃいましたね。(これ自体は悪いことではありません)が,実際にはそんな期待をずっと定着させることができますかねという話です。

【白川総裁の会見でのダメ押し・おはこ(十八番)としての「広い意味」】
物価安定の理解が正確に浸透すれば金利形成に相応の影響=白川日銀総裁


でも,白川総裁は,そんな世間の脳内変換にブレーキを掛けて,日銀の「理解」もまた現実も依然として変わらないことをていねいに会見で答えています。
− 何か実質を変えたわけではない
− 各委員がそれぞれ考える物価安定の理解が変わったとは受け止めていない
− 先行きの金融政策運営について、何らかのコミットメントを行うという意味での時間軸政策とは異なる
− これを広い意味で時間軸的な効果と呼ぶのであれば、そうした効果はあると思う
− 中央銀行だけでなく、関係するさまざまな主体の努力が全体として需要の不足の解消につながってくる
− これ(物価安定の理解の表現の変更)だけでデフレ脱却ができると思っているわけではない

白川総裁のフレーズとして面白いのは「広い意味」という表現がよく出てくることです。これまでの会見でも「広い意味での量的緩和」,「広い意味で時間軸的な効果」という表現が出てきました。「学者としての厳密な定義では違うんですが,皆さんが勝手に思うのならお好きにどうぞ」というものでしたら,役者としての芸風にはさらなる深化が必要でしょう。とはいえ,彼のおはこ(十八番)の一つともなってきた気がします。

【福井前総裁の芸風はさらに深い】
参考までに,福井前総裁の芸風はさらに磨かれたもので誠に豊かなので以下に引用しておきます。「準」「的」「色彩=意味不明な言葉」が満載で市場へのリップサービスというかたぶんに脳内変換促進薬を大量投与というところでしょうか。ここまで芸風が確立されると流石にオチの甲斐があるというものです。

福井総裁記者会見要旨 ( 2004年5月20日):日本銀行
(問) 最近、審議委員が講演等でインフレ参照値についていろいろ意見を述べられるケースが相次いでいるが、インフレ参照値について、改めて総裁のご意見をお伺いしたい。
(答) 何人かの審議委員が、「インフレ参照値」というように具体的に銘打ってお話しをされているかどうかについては、私も正確にはわからない。しかし、少なくとも私が理解している限りは、審議委員の話しておられることは、ある意味で非常に時間的距離の長い、日本経済の均衡のとれた姿、その中における物価の姿ということをイメージしながら議論をしておられる。言ってみれば、お話しをする時の焦点のあて方というのは、そういうところにあるのではないかと私は理解している。
 これをもっとずっと手前に引き寄せて、「インフレーション・ターゲッティングというものを、具体的に金融政策の組み立て方としてはどうか」というのが今のお尋ねだと思う。そういうお尋ねだとすれば、私どもは「消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまでは今の枠組み」とお約束している中で「消費者物価指数の前年比変化率がゼロ%以上」と言っているのは、ある意味で準インフレーション・ターゲッティング的な色彩を持っている。インフレーション・ターゲッティングそのものではないが、それに準ずるような性格も一面備えているというような意識を持っていて、その達成に全力を上げているという段階である。今それ以上のことを考える必要もないし、考えることはかえってプラスにならないと思う。

コメント

日銀の立場も苦しい

いつもお世話になります。
いつしか日銀も政治的パフォーマンスに加担させられているようで悲しいです。
白川総裁は会見ではパフォーマンスを中和するような発言をしており中央銀行としての矜持を感じます。
あと、管理人さんの立場は日銀のスタンスが変わらないことを冷静にみている反面、前総裁のような踊りを奨励しているようにも見えてやや一貫性がないようにも思えますが…

中央銀行総裁

 中央銀行総裁ともなると、その言葉のひとつひとつに膨大な重みがあるわけです。
極めて慎重な言い回しないと、マーケットを撹乱することになりかねませんから。
白川総裁(Qちゃん)もすっかり日銀総裁が板についてきました。
前総裁がかなり優秀な方だったので、インパクトが強かったのですが、
後任の白川総裁も相当優秀な方だと思います。
その“芸風”にも慣れてきました。

 理想的な消費者物価指数を示したことは、良いことだと思います。
メディアでもデフレスパイラルを取り上げることが増えてきたように感じるので、
消費者サイドに、値下げ値下げの消耗戦は不毛だという認識が芽生えれば良いですね。

どうもです

>通りすがりさん
どうもです。中央銀行としての日銀および白川総裁はよくやっていると思います。政府がブレなければ日銀もさらにやりやすいでしょうが。私も今の総裁の姿勢を評価していますが,純粋にオチする立場から言えば,前総裁ほど面白くないという意味です。

>伍長さん
お久しぶりです。福井前総裁も白川総裁も優秀な方なので,プラスアルファとしてそれぞれ違った個性を発揮してもらえればよいと思います。そういえば私はMixiは開店休業状態です。

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管理人のニックネームEURO SELLERの由来は,2005年6月の欧州憲法の否決の際にユーロを売りまくったことからきています。もう一つのシステムトレードのブログはこちらです。

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