EURO SELLERの為替・投資戦略ブログ

2005年6月の欧州憲法否決の際にユーロを売りまくった管理人の【新】為替・投資日記ブログです。くれぐれも投資行動は自己責任でお願いします。

金融経済に翻弄される実体経済

朝ナマなどを見ると,相変わらず日本の議員さんの中には金融経済を目の敵にしているかたもおられるようです。が,好き嫌いは勝手ですがその規模が実体経済を上回るようになると嫌いだからといって無視することはできません。そこで,現在の金融経済をどう見るかという視点で一つエントリを立てました。

■ いつまでも金融経済は「尻尾」ではない
水野和夫氏の著書「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」では,「これまでは金融経済は尻尾であり,実物経済(原書のまま:経済は物ではないので実体経済という表現のほうが私は好き)が頭だった。」と述べていますが,この過去形の表現どおり,米国が膨大な貿易赤字を埋め合わせるために金融立国を目指して世界中からお金を集めまくった結果,金融経済の取引額は実体経済の貿易額をはるかに超えるようになりました。今ではいわば,金融経済が「頭」になり,実体経済が「尻尾」に転換したのです。水野氏はこの転換点が1996年あたりだと言っていますが,21世紀になってその逆転した格差が広がったことは言うまでもありません。

1999年のグラム・リーチ・ブライリー法は共和党の自由放任指向が大きく出ている改正法案でしたが,投資銀行を野放しにした一方で,証券会社の監督管轄をFRBに引き戻して金融コングロマリットの形成を容易にした上でSECの規制を弱めたともいえそうです。皮肉なのはSECがちゃんとしないからだとその働きを非難したのはこの法案に賛成したマケイン共和党大統領候補でした。それはさておき,人々は規制のない中でいかに利益を上げようかとレバレッジを掛け,住宅価格の上昇をてこにして各種金融派生商品が膨大に生み出されていきました。

■ 金融経済が主役になるとストックではなくフローを見ないといけない
そういう中では,経済をマネーストックではなくマネーフローで見る考え方が必要になってきます。例を挙げると株式投資をするとき,一昔前ならその国のGDP・失業率・景気動向・個別企業の業績予想などを加味して,この株は上がるぞとか下がるぞと考えればよかったわけです。この会社は在庫が増えたから,あるいは新製品を出したから業績がこうなるというのもやはりマネーストックに依存した考え方です。

しかし,金融経済が主役になると,実体経済をあらわす指標だけでは物事が判断できなくなりました。実体経済とは別にその株への投資を行うビッグ・プレーヤーが出現したからです。現在,米国の金融危機により2,3年前にBRICsを始めとする新興国に投資された米国の資金が米国内にレパトリエーション(本国還流)しています。そうすると,新興国企業の業績がいいのにその企業の株価が下落するということがありえますし,今夏以降は実際にその傾向が強まっています。個別企業の将来性・業績予想だけで判断すると大変なことになる典型例といえるでしょう。

■ 具体的には金利・信用リスク・マネーの出入り(為替)を見ること
幸いなことに,最初に株式市場に参入せずに為替市場を先に知った私は,もともと経済動向をマネーフローとして見ることができました。為替市場は国家間のマネーのフローですし,キャリートレードの例を取り出すまでも無く,為替市場の変動には各国の政策金利が大きく関係しています。金利に注意を払うということは,お金をどの市場で運用するかという金融経済の投資戦略の根幹をなすものです。でも,この意味でインターバンク市場およびオープン市場で活躍する債券市場関係者は一歩も二歩も先を行っています。彼らは変動金利で資金を調達して固定利率の債券を購入するということやその逆をやっているからです。また,同じ考えで固定金利と変動金利の受け払いである金利スワップも行っています。

彼らに及ばないまでも,我々も各種金融派生商品の利回りや株式投資のリターンもこうした金利の上下との兼ね合いおよびその投資先を選ぶ際のリスクで考えることが大切となってきます。一例として信用リスクを計る一つの指標を考えましょう。現在の状況のように信用不安が高まって金融機関がお金を貸さなくなってくると,余ったお金は当然安全な投資先である国債(日本ではJGBおよびグローバルには米国債)に集まってきます。そうすると債券価格は上昇しその利回りは低下します。一方,信用不安が高まっているので資金調達コストは高いままです。



この資金調達コストと債券利回りの差の代表的なものにTEDスプレッドがあります。これはTreasury-bill and Euro Dollar Spreadの略で,3か月物米短期国債(T-bill)先物と3か月物ユーロドル(EuroDollar)LIBOR(ロンドン銀行間市場金利)先物との金利差のことです。この差が広がれば,ドルの需給が逼迫し,かつ株式市場や商品市場からも資金が逃避するのは容易に想像できるでしょう。(まだ紹介していないなら,是非テレビ東京系の「モーサテ」の「マーケットウメダス」でLIBORだけでなくTEDスプレッドも紹介してくれたらいいですね。)資金が借りにくくても安い債券なら買いたいという裁定が働くので,単なるLIBORよりお金の流れをつかむのに適切と思います。

■ まとめ
為替取引をする人はあらゆる指標の影響を受けるので,逆に「藁をもつかむ気持ち」でこういう指標なども気にしているのですが,純粋に株式投資に携わる人もこの金融経済激動の時期には,幅広く金利・リスク指標・為替などの動向を追ってみることはいかがでしょうか。

それがいやなら,為替取引も株式投資も純粋にテクニカル指標だけを見て行うべきです。中途半端は何事もいけません。

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管理人のニックネームEURO SELLERの由来は,2005年6月の欧州憲法の否決の際にユーロを売りまくったことからきています。もう一つのシステムトレードのブログはこちらです。

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