EURO SELLERの為替・投資戦略ブログ

2005年6月の欧州憲法否決の際にユーロを売りまくった管理人の【新】為替・投資日記ブログです。くれぐれも投資行動は自己責任でお願いします。

トリシェECB総裁に関するブルームバーグの特集

Trichet Proving Prophet-Making No Panacea in Elusive Recovery
「トリシェ総裁は(その仕事振りを通して)不確実な景気回復について予言しても万能薬とはならないことを証明している」



(写真はジャクソンホールに到着したECBトリシェ総裁)

この記事などは,ブルームバーグの記事の中で日本語に全く翻訳されない記事の一つと言っても良いでしょう。第一にタイトルが直訳しにくいことに加え,元の記事の字数が膨大です。なかなかこれくらいのサイズの記事にお目にかかることはありません。

おそらく翻訳作業が歩合制だとしても,どの記事を訳すかどうかに明確な基準があるわけではないので,短い記事をたくさん訳すほうが楽だと思えるからです。こういう記事を日本語にしてくれたらブルームバーグ・オンラインが有料でも購読しますが,テレビも日本から撤退するようでは無理でしょうね。

私もパラグラフごとに少しずつ読む程度のものです。(それも本質関係ないところを中心に…)

■ トリシェ総裁のデスクはL字型だった
■ デスクの白の電話でマルタからドイツまでの国々の金融政策を話し合う
■ ECBエグゼクティブのために6列のハンドセットがオフィスにある
■ スーツのポケットにはバーナンキFRB議長への短縮ダイアル付きの携帯電話が入っている
■ 部屋の反対側には,古めかしい欧州地図の下にもしものときに使う衛星電話もある

2003年に就任してから6年にもなるのですね。欧州16か国をまとめるのは尋常なことではありません。全てがコミュニケーションで解決するしかないので,アラン・グリーンスパン前FRB議長のような絶対権力ではなく,それだけ力が削がれてるともいえます。

2007年の夏の危機のときに無制限の資金貸付を発表したときには絶賛の嵐でしたが,逆に利下げや大規模な資産買取プログラムの実行に関しては,他の中央銀行の決定より遅れてしまったので今度は大いに叩かれました。あまり大胆な政策は議論が続いて紛糾するかもしれないので難しい舵取りです。

EU諸国は保険会社・投資銀行を含む金融機関監視のための新たな機関の設置に賛成していますが,いわゆる総論賛成・各論反対なのでしょう。いっこうに議論が深まりません。それどころか6月のブリュッセルの会議では,英国主導でその国のローカルルールでECBの提案を反故にできるというコンセンサスができてしまい,なかなか大変なようです。

FEDはGDPの12.3%を国債と社債の買取りに当て,BOEも12.1%を当てているのに,ECBはたった0.6%ですって。いかにこの非伝統的手段の分野におけるECBの政策が難しいかわかりますね。

フランス人ですのに記者会見ではいつも英語を話し,将来のECBの決定や移行に関して何らかのヒントをわかりやすく出すのは市場との対話を重視しているトリシェ総裁らしさです。

2005年の4月にアラン・グリーンスパン前FRB議長がサブプライムローンを始めとする高度な信用格付けの手法を賞賛したのに対して,同年末までにトリシェ総裁は「安易な信用供与はよろしくない」と外交官のような言葉で警告しました。ともかく大胆な予言や断定をしてもその通りにならないことを身をもって知っているので,言葉はさすがに慎重に選ぶのでしょう。

2007年のダボス会議では,「投資家がリスクを過小評価している」と主張しましたがどちらかというと人気の無い意見でした。

2003年から2008年にかけて金融システムのリスクに関して警告したのはトリシェ総裁とインド中銀のレディ総裁だけだったそうです。しかし,インフレターゲット政策を取っていたECB総裁としては,実際に危機が本格化するまで少なくとも金利面においてはあまりフレキシブルに対応できなかったのは不本意でしょう。特に2008年7月の利上げは誰がなんと言おうとも失敗です。

ところでこの記事の随所にはトリビアがありますが,トリシェ総裁の二人の息子のうち一人は,電話会社のマーケット戦略担当ディレクターで,もう一人はプロデューサー兼ミュージシャンなんだとか。へえっ,どこの記事にもこんなことは書いてないと思います。なんだか後半は彼の伝記かドキュメンタリーを読んでいるようです。時間があったらじっくり読んでみてください。トリシェ総裁の人となりがさらに良くわかります。旅行中の列車で延々と金融政策談義に明け暮れるエピソードを知ると,どこかの国の中銀総裁のように「金融政策が趣味」という人がフランスにもいたことがわかります。(笑)

基本的に(他人を人間的魅力で説得してしまう)「人たらし」のようです。

そして最後のパラグラフで現実に戻って,コンセンサスだけで政策を行うと全ての決定が遅れるという批判もあることを述べて記事は終わっています。

こんな総括記事は経済危機の真っ只中には出てはきません。逆にいうとこういう記事が出るということはメディアを含む人々の景気動向の将来への見方に余裕が出てきたことの証左と言えるでしょう。今日はこの記事を本当に楽しみました。

【追記】このエントリのカテゴリは,あえて「アノマリー・データ等」です。記事がなくなっても残るようにローカルにも保存しました。

カンザスシティ連銀主催の年次経済シンポジウム

Bernanke Says Global Economy Emerging From Recession (Update2)

G7の財務相・中央銀行総裁会議が政治色の強い会議であるのに対して,カンザスシティ連銀が毎年主催する年次シンポジウムは,世界の中銀関係者にとっての真のサミットと言ってよいでしょう。まあ,それでも時期が時期だけに「バカンスサミット」(日本で言うところの「温泉学会」(=温泉研究の学会ではなく温泉を楽しむ学会関係者の集まり))と揶揄されてもしかたがないのですが…

ジャクソンホール - Wikipedia
>ジャクソンホールは近隣のイエローストーン国立公園や谷の西半分を占めるグランドティトン国立公園への玄関口となっている。また全米屈指のスキーリゾートとしても知られている。そのため、ジャクソンホールはワイオミング州のみならず、全米でも有数の観光地となっている。ジャクソン市はそれらの観光地への拠点、および一帯の文化の中心地である。

今年は日銀の白川総裁も出席しており講演も準備されていますが,今日はバーナンキFRB議長が講演をしています。

一言でいうと「中央銀行がみんなで協力して頑張ったおかげで,不況の進行もようやく下げ止まったようです。ようやく将来への明るい見通しも出てきてもっと感謝してもらわないと困りますよね。」と出席している中銀関係者の耳をくすぐりながらも「失業率の上昇が一服したくらいで,政策金利がそう簡単に上がると思ったら大間違いですよ。」と楽観論に警戒を示すのも忘れなかったというものです。

また「全般的に中央銀行および諸外国の政府機関はこの経済危機に優秀に対応してきたが,リーマン・ブラザーズの破綻に関しては例外的に間違った。」と改めて自国のミスを認めています。こういう議長の率直さは好感が持てるのではないでしょうか。さらに「過去の財政金融政策は積極的にかつ補完的に行われてきた」が,「1930年代の恐慌とは異なり,経済に関して政策サイドが行えることには受動的になっており,経済および金融の分野においての国際協調をより難しくしている」とも述べて自画自賛なんだか責任逃れなんだかわけわからんところもございます。

出席者の中にはハーバード大学のマーチン・フェルドシュタイン教授のように「景気はなおぜい弱で,最近見られた上向きの動きが持続的な拡大の始まりであるかどうかは全く不透明だ。」と言う慎重論も根強くありますので,「良くやった」論と「(勝って)兜の緒を締めよ」論を両方述べる当然の論調ではあるでしょう。これでは,市場には大して反応を与えませんよね。(与えてもらっては困るのですが…)

同じく出席しているトリシェECB総裁の講演もありますので,トリシェチャネルも含めてお楽しみに。

それそろ,ヘッジファンドの月次収益のエントリを書く時期だと内心思いながら,年次シンポジウムのエントリでとりあえずお茶を濁すという高度な手段に出てみました。(面倒なことは来週にしてるだけのこと…)

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管理人のニックネームEURO SELLERの由来は,2005年6月の欧州憲法の否決の際にユーロを売りまくったことからきています。もう一つのシステムトレードのブログはこちらです。

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