EURO SELLERの為替・投資戦略ブログ

2005年6月の欧州憲法否決の際にユーロを売りまくった管理人の【新】為替・投資日記ブログです。くれぐれも投資行動は自己責任でお願いします。

ドル円・ユーロドル・ドルスイスの展望【09/08/31の週】

昨日の総選挙は歴史的な自民党の惨敗・民主党の地すべり的勝利となりました。加えて夏休みもようやく終わり,株式・為替市場がどう動くか興味深いところです。東京市場はおっかなびっくりでこれからの民主党の政権運営次第で大きく動くのかもしれません。さて為替の動意方向ですが,新政権への純粋な期待とお手並み拝見の思惑はいったんは円高圧力として表われると考えます。特に,日本の政治構造に詳しくない欧州市場の反応のほうが米国市場より動きそうな気がします。



ドル円は,予想が96.00円-93.30円で,実際は95.051円-93.201円(終値93.560円)でした。下限の予測は良かったのですが,上限は動きが重く95円を越えるのがやっとでした。下値圧力が強いのは明確ですから,92円台突入は当然として,7月8日の安値91.820円から7月13日の安値91.721円にかけてのサポートレベルが守られるかどうかが最初の注目点です。下限についてはこのサポートレベルを割った後は90円台突入で今週の達成感を感じそうですが,日足も週足も一目均衡の雲を完全に割り切っていますので油断は大敵です。一方,上限については下向き圧力が強いので94円を越えるのがやっとでしょう。よって,今週の上値は94.10円程度と予測し,下値は90.80円程度と予測します。



ユーロドルは,予想が1.4380ドル-1.4140ドルで,実際は1.44055ドル-1.42054ドル(終値1.43000ドル)でした。上限はまあ誤差の範囲ですが,下限はちょっと低めに見積もりすぎで思ったよりドル高には振れませんでした。思ったより1.41ドル台は幅広いサポートを形成しているようですね。このような状況では,+-50PIPS程度のブレは許容する必要があります。今週は各国通貨とも対円にたいする動きが中心となるでしょうから,木曜日以降のECBの政策金利発表,雇用統計発表まではユーロドルには大きな動きは期待できないでしょう。そこで上限については3週連続で予測を継続します。一方,下限については幅広いサポートに敬意を表して少し上げておきましょう。よって,今週の上値は1.4380ドル程度と予測し,下値は1.4170ドル程度と予測します。



ドルスイスは,予想が1.0700フラン-1.0480フランで,実際は1.07128フラン-1.05269フラン(終値1.05950フラン)でした。こちらは上限の予測は良いのですが下限はややフラン高に予測しました。上限については1.0700フランが今度はレジスタンスレベルとして確実に利いてきましたが,21日移動平均は下落傾向にあり,今週はさらに上限を下げても良いでしょう。一方,下限については先週の安値の1.05269フランというのは昨年12月28日の週以来の直近安値であり引き続き下押し圧力がかかっています。そのため,長いスパンで見ると今週も1.05フラン台でのサポートが継続すると言いたいのですが,下値更新の可能性を否定できません。よって,今週の上値は1.0680フラン程度と予測し,下値は1.0450フラン程度と予測します。

さて今週のイベントですが,ECBの政策金利発表は据え置きですが,楽観傾向のある8月米雇用統計は夏休み特有の下ブレに注意しましょう。為替トレーダーとしては今週からは動いた方向についていくだけです。

一方,絶望官僚さんを始めとして多くの官僚の皆さんは140人以上の新人民主党議員の皆さんに連日のレクチャーとなることは必死ですね。「脱官僚」政治と言いながら政権政党としては結局皆さんに頼るしかない状況でしょう。それぞれの秋は忙しくなりそうですが,お互いに健康には気をつけたいものです。

ところでマット今井さんは大きな転進ですね。彼にも日本の将来のためにその分析力と予測力を活用していただきたいと思います。

リスク許容度(VIXとTEDスプレッド)

今年の4月にもエントリを書いたのですがVIXとTEDスプレッドがしばらく見ないうちに大いに下がりました。

【VIX1年チャート: リストボックスやボタンはキャプチャなので無効】


これはVIXですが,まだ昨年の9月までは下がっていませんが,ずいぶんとリスク許容度が増えました。昨年の5月〜6月の10台までは達していませんので,まだ株式市場には疑心暗鬼な部分があるのでしょう。

【TEDスプレッド1年チャート: ボタンはキャプチャなので無効】


こちらはTEDスプレッドですが,グリーンスパン前FRB議長が言っていた通常値の20BP台まで下がっています。昨年の5月〜6月の70BP台をはるかに下回る値であり,今年の5月〜6月の為替の動かないころに100BPから劇的に下がったことがわかります。株式市場より早く元の健全な状態になりました。

以前の書いたように金融経済のほうが実体経済より回復スピードが早く,さらに細かく見ると債券市場>株式市場>住宅市場>労働市場>個人消費の順番で正常になっていくのでしょう。

2009年7月YTDヘッジファンド成績

7月までのヘッジファンドの成績の推移を確認したいと思います。



図1が代表的な10種類のファンド成績の推移です。収益が6月の一時的な落ち込みに比べて大幅に回復しています。特にロングオンリー戦略,エネルギーセクターはV字回復の模様です。7月の始めは原油が60ドル台前半でしたが,2度の大きな下落を伴いながら70ドル台半ばまで上昇してきていますので,その効果が大きいでしょう。消費が回復したエマージング市場もこの2つに準ずる程度に戻しています。一方,相場がはっきりしてきたためオプション戦略ファンドは収益を下げてしまいました。順張り組にオプション料だけ召し上げられた結果かもしれません。



次が,全セクターの7月までのYTDパフォーマンスの図2です。ベスト10およびワースト10の順にもリストしてみましょう。

30.57%:モーゲージ組成ファンド
29.75%: 転換社債裁定ファンド
28.93%:スペシャル・シチュエーションファンド
27.71%:エネルギーセクターファンド
26.33%:ロングオンリー戦略ファンド
25.45%:エマージング市場ファンド
24.22%:バリュー投資ファンド
23.26%:スモール・マイクロ企業限定ファンド
23.11%:カントリー特定投資ファンド
18.67%:イベント主導型ファンド

-12.42%:ショートバイアスファンド
-1.12%:その他の裁定ファンド
0.15%:CTA商品先物ファンド
2.13%:短期トレードファンド
2.67%:マーケットニュートラルファンド
3.50%:資産賃貸ファンド
5.55%:企業合併裁定ファンド
6.25%:オプション戦略ファンド
7.08%:マクロファンド
8.67%:レギュレーションD限定ファンド

6月に引き続いてモーゲージ組成・転換社債裁定ファンドの2強は変わりません。長期・短期投資裁定ファンドは今月レポートが入手不可能でしたので圏外です。エネルギーセクターファンド,ロングオンリー戦略ファンド,エマージング市場ファンドは定位置ですし,ベストテンまで堂々たる成績です。一方,ショートバイアス,その他の裁定,CTA商品先物の3つはほぼゼロかマイナスの収益でワースト3を堅持しました。CTAと似ている為替取引もレンジ相場で収益を挙げにくく傾向は同じです。

今年の初めからファンドを購入した人は,笑いが止まらないでしょうね。「投資とはタイミングがすべて」と強く感じさせられる成績です。

白川日銀総裁の講演@ジャクソンホール

ジャクソンホールで行われた経済シンポジウム講演特集第3弾です。

カンザスシティ連邦準備銀行主催シンポジウム(米国ワイオミング州ジャクソンホール)における白川総裁講演(8月22日)の邦訳「金融危機に対する国際的な政策対応

日本語ですからそのままAcrobat Readerで読んでくださいませ。講演中にキング総裁の発言を引用するなど,やはり「盟友関係」なのかなあ。

先の上海での講演「非伝統的な金融政策─中央銀行の挑戦と学習─」に続く総裁の「欧米いびり」発言としては,P6とP8が良いですね。

【P6の文言】
>人間心理と様々な制度的条件のもとで、低金利が継続するとの根拠のない期待は、良好な経済環境のもとでインセンティブのねじれ(perverse incentive)を醸成することにつながってしまいました。こうしたインセンティブのねじれはさらに、金融面の不均衡の蓄積と顕在化というプロセスを後押しし、やや長い目でみて経済を不安定化させてしまいました。

誰が低金利を放置したかと詳しく述べないのが日本的奥ゆかしさでしょう。例えば「人間心理と様々な制度的条件のもとで」のフレーズにさらに語句を補えば,
  (グリーンスパンが言うなら絶対だという)
人間心理と
  (彼が言い出したら誰も止められないという)
様々な制度的条件のもとで
なんてぴったりだと思いますが,いかがでしょう。

【P8の文言】
>この点、金融の規制・監督のモデルをどうするべきかという議論を巡っては、振り子の針が大きく振れるように、様々な紆余曲折があったことに留意しておく必要があります。単純化して言えば、アジア通貨危機後には、アジア型モデルが評価を下げましたが、今回の危機ではアングロ・サクソン型モデルが評価を下げています。もっとも、これらのモデルが正確に何を意味するのかは、あいまいなままです。

※アジア型モデルとアングロ・サクソン型モデルの比較は,なんとなくやり返したいようなそうでないような気持ちの表現ですね。なかなか良い味を出していますが,これでもまだやんわりだと思われます。

もっと鋭いご指摘&解説は,明日以降に「今朝のドラめもん(営業日の毎朝更新)」でなされるのを期待しましょう。

ドル円・ユーロドル・ドルスイスの展望【09/08/24の週】

先週は米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は良かったものの,住宅着工件数など発表にあわせてドル安方向にも断続的に振れました。全体的に先々週の動きほど大きくなく,さらに円高になるだけの相場の勢いは無かったですね。このようなレンジ相場の値幅では一部のハイ・フレケンシー・システムトレーダーでないとあまり収益をもたらさないでしょう。相場より週末のカンザスシティ連銀が毎年主催する年次シンポジウムが個人的にはツボでした。いよいよ総選挙まで1週間になりましたが,今週も多くの為替トレーダーは様子見ではないかと思います。



ドル円は,予想が96.50円-92.80円で,実際は95.270円-93.410円(終値94.300円)でした。下限をきつめに見たのは良かったのですが,上限は動きが重く96円ははるかに遠かったですね。日足の一目均衡の雲の上限は95.298円にあり,市場が意識しているかどうかはわかりませんが日柄的にも急激な上昇は望めないのでしょう。また,更なる上昇のためのレジスタンスがレベルではなく95.50円から96.50円までのレンジであることが判明しましたので,明確な上限を規定することが難しいですが,それでも96.50円レベルはドル高過ぎる予測ですので,96.00円ジャストあたりに上限を決めておきましょう。一方,下限については93円台で非常に底堅く推移しましたので,先週に引き続き92円台突入まではいかないと思います。よって,今週の上値は96.00円程度と予測し,下値は93.30円程度と予測します。



ユーロドルは,予想が1.4380ドル-1.4050ドルで,実際は1.43760ドル-1.40445ドル(終値1.43350ドル)でした。ここまで上限も下限もぴったりなのは本当にまれですよ。これが何を意味するかというと自分で想定したサポート&レジスタンスが引き続き有効に働いているという事実です。そして,今週考えるべきことはそれらを意識しながらも,ブレイクアウトするだけのイベントがあるかどうかの一点につきます。高値圏で先週終値を迎えましたので,主にドル安要因となるネガティブサプライズがあるかどうかですね。今週はケースシラー指数や新築住宅販売数など住宅関連の指標が目立ちますが,景気下げ止まりの確認で終わる気がします。そこで上限については先週の予測を継続します。一方,下限については8月19日04:00GMTの下落が1.40850ドルまでで失敗したことから,そこから100PIPS上のレベルまではロンガーがずっとポジションを持ち続けている様子です。今週は再び1.40ドル台をつけることなく1.41ドル台で下げ止まるでしょう。よって,今週の上値は1.4380ドル程度と予測し,下値は1.4140ドル程度と予測します。



ドルスイスは,予想が1.0850フラン-1.0700フランで,実際は1.08326フラン-1.05520フラン(終値1.05700フラン)でした。こちらは上限はまあ良いのですが下限が想定以上に週全般にわたってドル安に振れました。今年になってからスイスの輸出産業もフラン高でダメージを受けており,SNBはたびたびフラン売りの介入を続けています。下限については,1.05フラン台が今年の下値圏なのでこれ以下のレートでは一応防衛されると考えています。また,19日にはUBSが課税逃れをした疑いのある米国人顧客が持つ4450以上の口座情報を米政府に開示すると発表しました。たぶん口座閉鎖や課税措置がさらに進行するのでしょう。この程度の顧客資金の実需移動が為替相場に影響を与えるとは思えませんが,こういうニュースを材料にして投機筋が大量の資金移動を行う可能性があるので要注意です。一方,上限については先週サポートできなかった1.0700フランは今度はレジスタンスレベルとして利いてくるでしょう。よって,今週の上値は1.0700フラン程度と予測し,下値は1.0480フラン程度と予測します。

さて今週のイベントですが,週前半の住宅関連指標で何もサプライズが無ければそれ以外はあまり相場に影響を与えないと思います。このため,ドル円は特に選挙を控えて様子見で,ユーロドルは高くなりすぎたので反落,ドルスイスは逆に反転という全く普通の予測をしています。最後の夏休みの週です。しっかり休むときは休みましょう。

トリシェECB総裁「経済回復にはまだでこぼこ道あり」

Trichet Says World Economy May Face ‘Bumpy’ Rebound (Update2)

今回のジャクソンホールでの講演は,公式記者会見でもなく,ブルームバーグの独占でもないのでトリシェチャネルはないようです。

この講演でのトリシェECB総裁の要旨は,

■ 経済のフリーフォールはなくなったけど,まだ前途にでこぼこ道がないとは限らないから,まだまだ楽観は禁物だ。
■ ECBは,確かにFEDや他の中央銀行に比べる政策決定が遅いと言われるけどその批判は当たらない。
■ ECBのような漸進的な政策をやっているから,市場も政策予測がしやすいだろう。結果的に物価の安定への脅威も回避されていると考えてほしい。
■ ましてや,ECBは昏睡状態だとか,無能力だとか,やる気が無いなどと誤解されるいわれはない。
■ ECBは確信を持って必要なときに政策決定しているので,「出口戦略」も半信半疑ではなく「信頼の置ける」決定の結果となるだろう。
■ 必要なことは政策決定のためのルールに従った枠組みの中の断固とした決定であり,あまりにも目先の資産価格の管理に汲々としている様を中央銀行は見せてはいけない。

「楽観は禁物」という慎重な見方などおっしゃることはもっともだと思いますが,今回の講演内容の一部はややECBに対する批判回避の印象が強いと思います。

トリシェECB総裁に関するブルームバーグの特集

Trichet Proving Prophet-Making No Panacea in Elusive Recovery
「トリシェ総裁は(その仕事振りを通して)不確実な景気回復について予言しても万能薬とはならないことを証明している」



(写真はジャクソンホールに到着したECBトリシェ総裁)

この記事などは,ブルームバーグの記事の中で日本語に全く翻訳されない記事の一つと言っても良いでしょう。第一にタイトルが直訳しにくいことに加え,元の記事の字数が膨大です。なかなかこれくらいのサイズの記事にお目にかかることはありません。

おそらく翻訳作業が歩合制だとしても,どの記事を訳すかどうかに明確な基準があるわけではないので,短い記事をたくさん訳すほうが楽だと思えるからです。こういう記事を日本語にしてくれたらブルームバーグ・オンラインが有料でも購読しますが,テレビも日本から撤退するようでは無理でしょうね。

私もパラグラフごとに少しずつ読む程度のものです。(それも本質関係ないところを中心に…)

■ トリシェ総裁のデスクはL字型だった
■ デスクの白の電話でマルタからドイツまでの国々の金融政策を話し合う
■ ECBエグゼクティブのために6列のハンドセットがオフィスにある
■ スーツのポケットにはバーナンキFRB議長への短縮ダイアル付きの携帯電話が入っている
■ 部屋の反対側には,古めかしい欧州地図の下にもしものときに使う衛星電話もある

2003年に就任してから6年にもなるのですね。欧州16か国をまとめるのは尋常なことではありません。全てがコミュニケーションで解決するしかないので,アラン・グリーンスパン前FRB議長のような絶対権力ではなく,それだけ力が削がれてるともいえます。

2007年の夏の危機のときに無制限の資金貸付を発表したときには絶賛の嵐でしたが,逆に利下げや大規模な資産買取プログラムの実行に関しては,他の中央銀行の決定より遅れてしまったので今度は大いに叩かれました。あまり大胆な政策は議論が続いて紛糾するかもしれないので難しい舵取りです。

EU諸国は保険会社・投資銀行を含む金融機関監視のための新たな機関の設置に賛成していますが,いわゆる総論賛成・各論反対なのでしょう。いっこうに議論が深まりません。それどころか6月のブリュッセルの会議では,英国主導でその国のローカルルールでECBの提案を反故にできるというコンセンサスができてしまい,なかなか大変なようです。

FEDはGDPの12.3%を国債と社債の買取りに当て,BOEも12.1%を当てているのに,ECBはたった0.6%ですって。いかにこの非伝統的手段の分野におけるECBの政策が難しいかわかりますね。

フランス人ですのに記者会見ではいつも英語を話し,将来のECBの決定や移行に関して何らかのヒントをわかりやすく出すのは市場との対話を重視しているトリシェ総裁らしさです。

2005年の4月にアラン・グリーンスパン前FRB議長がサブプライムローンを始めとする高度な信用格付けの手法を賞賛したのに対して,同年末までにトリシェ総裁は「安易な信用供与はよろしくない」と外交官のような言葉で警告しました。ともかく大胆な予言や断定をしてもその通りにならないことを身をもって知っているので,言葉はさすがに慎重に選ぶのでしょう。

2007年のダボス会議では,「投資家がリスクを過小評価している」と主張しましたがどちらかというと人気の無い意見でした。

2003年から2008年にかけて金融システムのリスクに関して警告したのはトリシェ総裁とインド中銀のレディ総裁だけだったそうです。しかし,インフレターゲット政策を取っていたECB総裁としては,実際に危機が本格化するまで少なくとも金利面においてはあまりフレキシブルに対応できなかったのは不本意でしょう。特に2008年7月の利上げは誰がなんと言おうとも失敗です。

ところでこの記事の随所にはトリビアがありますが,トリシェ総裁の二人の息子のうち一人は,電話会社のマーケット戦略担当ディレクターで,もう一人はプロデューサー兼ミュージシャンなんだとか。へえっ,どこの記事にもこんなことは書いてないと思います。なんだか後半は彼の伝記かドキュメンタリーを読んでいるようです。時間があったらじっくり読んでみてください。トリシェ総裁の人となりがさらに良くわかります。旅行中の列車で延々と金融政策談義に明け暮れるエピソードを知ると,どこかの国の中銀総裁のように「金融政策が趣味」という人がフランスにもいたことがわかります。(笑)

基本的に(他人を人間的魅力で説得してしまう)「人たらし」のようです。

そして最後のパラグラフで現実に戻って,コンセンサスだけで政策を行うと全ての決定が遅れるという批判もあることを述べて記事は終わっています。

こんな総括記事は経済危機の真っ只中には出てはきません。逆にいうとこういう記事が出るということはメディアを含む人々の景気動向の将来への見方に余裕が出てきたことの証左と言えるでしょう。今日はこの記事を本当に楽しみました。

【追記】このエントリのカテゴリは,あえて「アノマリー・データ等」です。記事がなくなっても残るようにローカルにも保存しました。

カンザスシティ連銀主催の年次経済シンポジウム

Bernanke Says Global Economy Emerging From Recession (Update2)

G7の財務相・中央銀行総裁会議が政治色の強い会議であるのに対して,カンザスシティ連銀が毎年主催する年次シンポジウムは,世界の中銀関係者にとっての真のサミットと言ってよいでしょう。まあ,それでも時期が時期だけに「バカンスサミット」(日本で言うところの「温泉学会」(=温泉研究の学会ではなく温泉を楽しむ学会関係者の集まり))と揶揄されてもしかたがないのですが…

ジャクソンホール - Wikipedia
>ジャクソンホールは近隣のイエローストーン国立公園や谷の西半分を占めるグランドティトン国立公園への玄関口となっている。また全米屈指のスキーリゾートとしても知られている。そのため、ジャクソンホールはワイオミング州のみならず、全米でも有数の観光地となっている。ジャクソン市はそれらの観光地への拠点、および一帯の文化の中心地である。

今年は日銀の白川総裁も出席しており講演も準備されていますが,今日はバーナンキFRB議長が講演をしています。

一言でいうと「中央銀行がみんなで協力して頑張ったおかげで,不況の進行もようやく下げ止まったようです。ようやく将来への明るい見通しも出てきてもっと感謝してもらわないと困りますよね。」と出席している中銀関係者の耳をくすぐりながらも「失業率の上昇が一服したくらいで,政策金利がそう簡単に上がると思ったら大間違いですよ。」と楽観論に警戒を示すのも忘れなかったというものです。

また「全般的に中央銀行および諸外国の政府機関はこの経済危機に優秀に対応してきたが,リーマン・ブラザーズの破綻に関しては例外的に間違った。」と改めて自国のミスを認めています。こういう議長の率直さは好感が持てるのではないでしょうか。さらに「過去の財政金融政策は積極的にかつ補完的に行われてきた」が,「1930年代の恐慌とは異なり,経済に関して政策サイドが行えることには受動的になっており,経済および金融の分野においての国際協調をより難しくしている」とも述べて自画自賛なんだか責任逃れなんだかわけわからんところもございます。

出席者の中にはハーバード大学のマーチン・フェルドシュタイン教授のように「景気はなおぜい弱で,最近見られた上向きの動きが持続的な拡大の始まりであるかどうかは全く不透明だ。」と言う慎重論も根強くありますので,「良くやった」論と「(勝って)兜の緒を締めよ」論を両方述べる当然の論調ではあるでしょう。これでは,市場には大して反応を与えませんよね。(与えてもらっては困るのですが…)

同じく出席しているトリシェECB総裁の講演もありますので,トリシェチャネルも含めてお楽しみに。

それそろ,ヘッジファンドの月次収益のエントリを書く時期だと内心思いながら,年次シンポジウムのエントリでとりあえずお茶を濁すという高度な手段に出てみました。(面倒なことは来週にしてるだけのこと…)

8月フィラデルフィア連銀景況指数はプラ転

U.S. Economy: Philadelphia Factory Gauge, Leading Index Rise

8月フィラデルフィア連銀景況指数: 4.2 (予想:-2.0,前月:-7.5)

7月の反落で少なめに見積もったら,実際には7月の指数が例外処理のような値で8月の指数通り順調だったと言うことでしょうか。ですから先月との差異に過度に注目してはいけません。不況期を脱するサンプルとしては2001年のときとの比較が良いようです。先行指数にけん引役になってもらっているうちに現況指数がプラ転することが大切ですが,実際に8月の指数はそうなってきました。(下図参照)

あとは期待だけさせといて9月,10月で二番底は止めてくれと思いますが,そうなったらそうなったで「逆に仕込みのラストチャンス」とでも思わないとやってられません。


国債買取り枠拡大をさらに望んだキングBOE総裁

King Push for 200 Billion-Pound Purchases Defeated (Update2)

キング総裁とベスリー委員,マイルズ委員の3人は500億ポンドではなく750億ポンドの国債買取り枠拡大を主張しました。これによりBOEの非伝統的政策および低金利政策の長期継続がはっきりと確認されたことになっています。

いやいや,しかし個人的にはこれは以下の2点について意外でした。

■ (金融機関はあまり大きくするな・潰すべきものは残すなという)市場介入にこれまで消極だったキング総裁が非伝統的政策の継続に熱心だったこと
■ 総裁意見が少数派になることもBOEでは珍しくないという事実

ちなみにキング総裁が少数意見だったのは今回で3回目です。
1回目:2005年8月4日(委員会が4.75%から4.50%に利下げしたとき)
2回目:2007年7月5日(委員会の5.50%から5.75%に利上げしたとき)

BOEの金融政策には予定調和的なところがあまり無いような気がします。その代わり水曜日あたりからポンドが変な動きをするのは勘弁してほしいですが…タブーは設けない・従来の政策にこだわらないという意味ではキング総裁は盟友・白川日銀総裁と似たところがあるのかもしれません。

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管理人のニックネームEURO SELLERの由来は,2005年6月の欧州憲法の否決の際にユーロを売りまくったことからきています。もう一つのシステムトレードのブログはこちらです。

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