EURO SELLERの為替・投資戦略ブログ

2005年6月の欧州憲法否決の際にユーロを売りまくった管理人の【新】為替・投資日記ブログです。くれぐれも投資行動は自己責任でお願いします。

このブログのご紹介

【世界でもっとも流動性のある外国為替市場(FOREX MARKET)にようこそ!】

管理人のニックネームEURO SELLERの由来は,2005年6月の欧州憲法の否決の際にユーロを売りまくったことからきています。

現在は,EUR/GBPやGBP/JPYなどの欧州通貨を中心に為替のメカニカルトレードシステムを行っています。といっても裁量トレードも大好きなので,シグナルルールもどちらかというと自分のトレード感覚をそのままルールにしている感じです。そのため大変ヒューリスティックな要素が多いトレードシステムです。

このブログではファンダメンタルを中心に市場雑感や為替動向に関する記録を残しています。できるだけ後に残して意味のあるものにしたいと思いますので,批判や反対コメントも歓迎いたします。どうか,よろしくお願いします

※このブログは2009年5月12日以降はlivedoorブログと同期して同時更新しています。
(どちらかのサーバーが落ちても更新できるためです。ただし,今後のエクスポートのためにコメントやトラックバックはなるべく本ブログのほうにお願いします。)

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「デフレ対策」論争についての雑感

最近ではTwitterやブログ上で日本経済の「デフレ対策」について大きな話題が提供されました。勝間和代氏の「まず、デフレを止めよう」提言に対して池田信夫氏が噛み付いたのです。いわゆる「勝池(デフレ対策)論争」と言われるものです。

勝間和代氏のためのマクロ経済学入門

「勝間氏は自分の領分だけで勝負したほうが良い」とか,「池田氏はいつも大人気ない」とかネットでは賛否両論ですが,冷静に両者の主張を読んだ限りでは,それぞれの主張がかみ合っていない気がします。

勝間氏の論点は主に金融政策にあるのではなく,日銀の(政府が発行した)赤字国債買取りにより,公共投資(公共事業なのか新産業育成なのかは分からないが…)のための資金を提供させるといういわゆるケインズ政策によるデフレ脱却のことのようです。

一方,池田氏の論点はゼロ金利下における金融政策について述べており,日銀の(金融市場に存在する)市場国債買取りいわゆる非伝統的金融政策ではデフレ脱却はできないと言っているのです。

対象としている国債がそもそも違っているのですから永遠に平行線ですね。

「勝間氏の提言」の主に財政出動に対する正面からの突破は,

■ 日本がGDP比で過剰な財政大赤字である現在,これ以上インフレが起きるほど国債を発行してどうするという財政破綻の議論
■ ケインズ政策で「デフレ脱出」をすると,オーバーシュートがありインフレ期待が暴走して「ハイパーインフレ」の脅威が存在するという議論

の2点で攻めるべきでしょう。この2点に限った議論から言えば,各国中銀が取っているインフレターゲット政策のゼロインフレ下からの適用(いわゆるリフレ政策)の学問的立証とは無関係に,私は「勝間氏の提言」を現状の日本に適用できるとは思いません。

***

【6年前の非伝統的金融政策についての認識】

翻って,私にはリフレ派の人たちとも話しているのですが,ゼロ金利下における非伝統的金融政策になんらかの効果があると言う点では一定の合意ができていると思います。リフレ派の人はデフレ下の日銀政策を批判する人が多いですが,驚くべきことに以下の見解は日銀首脳から出た言葉です。

(問)総裁が、金融緩和の波及メカニズムという点に着目される背景として、おそらく、この2年間進めてきた国債購入を柱とする資金供給では、なかなか実体経済に資金が流れにくい状況になっているという問題意識があるかと思う。そうなると今後、いわゆる長期国債買い増しを軸に市場に資金を供給していく手法とは、徐々に一線を画していくというご意向なのか。

(答)従来からも効果が著しく出ている部分がある。やはり、金融市場の安定化効果というのは非常に大きくあったというふうに思う。ショックが起こった場合に、金融市場で不安感が増幅するというような悪影響は完全に遮断していたというふうに思う。実体経済には全く良い影響がなかったかというと、そうではない。デフレ的状況がずっと続いているが、物価と経済のシュリンク(収縮)という循環が、いわばデフレ・スパイラルといったかたちで目に見えて増幅していくというふうな、悪い動きを目下のところは阻止している。従って、実体経済に対してもプラスの影響はやはりはっきり持っていると思うが、我々の目指すところはより積極的なことである。さらにプラスの効果を出していきたい──マネーサプライに対してもプラスの効果があり、実体経済もよりダイナミックなものにしていくという、そこのところにまで波及効果を及ぼしていきたい、そこに挑戦していきたい──という意味であって、従来の延長線上の一つのエボリューション(進化)を図りたいということである。

(福井俊彦)政策委員会議長記者会見要旨 (2003年3月25日)

後半はですね,リフレ願望と言うかいろいろ英語も交えて特徴がありますけど福井新総裁らしさを出しながら頑張った発言をしていると思います。(後年にゼロ金利解除および利上げをしたことには賛否があるものの…)

10月失業率は10%越えで,NFPも予想を下回る

Unemployment in U.S. Jumps to 10.2%, Payrolls Fall (Update3)

10月非農業部門雇用者数: -190K (予想:-175K,前回修正値:-219K)
10月失業率: 10.2% (予想:9.9%,前回:9.8%)

10月の失業率は1983年以来の10%越えとなりました。雇用者数減はまだ続いていますので,近いうちに11%も高い確率で越えると思われます。これでは医療保険政策の実施遅れもからんで,オバマ政権の支持率が低下するのは当然でしょう。なお,前回修正値は-263Kから改善していますので,最初の指標時のドル下落はやや戻していると思えます。



製造業: 6万1000人 (前回:4万5000人)
建設業: 6万2000人 (前回:6万8000人)
金融業: 8000人 (前回:9000人)

リテール部門: 3万9800人 (前回:4万4200人)
政府部門: 増減なし (前回:5万3000人)


政府部門の「増減なし」は,唯一雇用が安定しているのは政府部門ではありますが,これからも政府の力で雇用を創出できるか見極める必要があります。一方,多くの民間部門の雇用は一時雇用の増加であったりして総じて前途は多難なようですが,金融業はリストラと再就職が一巡したのか雇用者減がイーブンに近づいています。

なお,ガイトナー財務長官は失業率のピークは2010年後半と見ていますので,雇用および個人消費の完全回復は先の長い話であることに疑いはありません。

Geithner Says Unemployment May Peak in Second Half of 2010

ECB,BOEとも政策金利据え置き

ECBは政策金利を1.0%で据え置き…
ECB Keeps Key Rate at Record Low of 1%, May Move Closer to Exit

ECBは金利据え置きでしたが,総裁の記者会見では「ECBの流動性措置のすべてが今までと同じ度合いで必要ということはなくなるだろう」と言っています。また,ECBの12か月ローンが12月に終了するとの観測も出ています。これらは「出口」への微妙な前進ということで,ユーロドルは50PIPS程度しかユーロ高になっていません。



BOEも政策金利を0.5%で据え置き…
BOE Slows Pace of Bond Purchases as Economy Improves (Update3)

BOEが金利据え置きに加えて行ったことはやはりボンドの買取りですが,買取り額を先回より250億ポンド程度増加させたので2000億ポンドの買取り額になりました。予想では500億ポンドの増加も期待されただけに記事ではボンド買取りの終了が近づいていると論評しています。先に非伝統的政策の「出口」を匂わせたのですから自国通貨のポンドが上がるのは必定で,あくまで思惑に過ぎないのですがポンドドルは100PIPS程度ポンド高になったようです。



その後,10月31日に終わった1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)が51万2000件と1月以降で最低となったので,ユーロドルもポンドドルも今度はドルが戻しています。なんとも忙しい毎日ですね。

FOMC statement, November 4, 2009

FOMC statement

9月23日以来,約40日ぶりのリリースとなります。引き続き政策金利は据え置きです。細かい調整はありますが基本的に先回からあまり変わらないと明言されています。

(今回の概要)
1.引き続き,レートを最初に持ってこないで前回のFOMCからの概況を先に持ってきた。先回の"(economic activity) has picked up"は"has continued to pick up"になり,景気回復傾向の継続を示唆している。(※1下線)
2.金融市場については,先回の"(Conditions in financial markets) have improved further"は"were roughly unchanged, on balance"に変更され,CITの破綻なども織り込みながら改善の程度が停滞気味であると示唆している。(※2下線)
3.住宅市場については,先回の"(housing sector) has increased"に"over recent months"が加えられ,改善継続を強調する表現になった。(※3下線)
4.家計支出についても,先回の"seems to be stabilizing"という表現は"appears to be expanding"に変更され,増加拡大が示唆される表現に変更された。(※4下線)
5.レートは今回も0.25%で据え置きで,FOMC文内の優先順位は低い。(※5下線)
6.経済状況について,新たにインフレ傾向やインフレ期待が低めで継続できていると具体的に記述した。(※6下線)
7.買取りの当初の上限2000億ドルを,実際の買取りのペースとの整合性を考慮して上限1750億ドルに減額した。(※7下線)

For immediate release
Information received since the Federal Open Market Committee met in September suggests that economic activity ※1has continued to pick up. ※2Conditions in financial markets were roughly unchanged, on balance, over the intermeeting period. Activity in the housing sector has increased ※3over recent months. Household spending ※4appears to be expanding but remains constrained by ongoing job losses, sluggish income growth, lower housing wealth, and tight credit. Businesses are still cutting back on fixed investment and staffing, though at a slower pace; they continue to make progress in bringing inventory stocks into better alignment with sales. Although economic activity is likely to remain weak for a time, the Committee anticipates that policy actions to stabilize financial markets and institutions, fiscal and monetary stimulus, and market forces will support a strengthening of economic growth and a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability.

With substantial resource slack likely to continue to dampen cost pressures and with longer-term inflation expectations stable, the Committee expects that inflation will remain subdued for some time.

In these circumstances, the Federal Reserve will continue to employ a wide range of tools to promote economic recovery and to preserve price stability. ※5The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, ※6including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period. To provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets, the Federal Reserve will purchase a total of $1.25 trillion of agency mortgage-backed securities and ※7about $175 billion of agency debt. The amount of agency debt purchases, while somewhat less than the previously announced maximum of $200 billion, is consistent with the recent path of purchases and reflects the limited availability of agency debt. In order to promote a smooth transition in markets, the Committee will gradually slow the pace of its purchases of both agency debt and agency mortgage-backed securities and anticipates that these transactions will be executed by the end of the first quarter of 2010. The Committee will continue to evaluate the timing and overall amounts of its purchases of securities in light of the evolving economic outlook and conditions in financial markets. The Federal Reserve is monitoring the size and composition of its balance sheet and will make adjustments to its credit and liquidity programs as warranted.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans; Donald L. Kohn; Jeffrey M. Lacker; Dennis P. Lockhart; Daniel K. Tarullo; Kevin M. Warsh; and Janet L. Yellen.

10月ISM非製造業景気指数は小幅反落

ISM Services Index in U.S. Unexpectedly Decreased (Update2)
10月ISM非製造業景気指数: 50.6 (予測:51.5,前月:50.9)

Month NMI Month NMI
Oct 2009 50.6 Apr 2009 43.7
Sep 2009 50.9 Mar 2009 40.8
Aug 2009 48.4 Feb 2009 41.6
Jul 2009 46.4 Jan 2009 42.9
Jun 2009 47.0 Dec 2008 40.1
May 2009 44.0 Nov 2008 37.4
Average for 12 months — 44.5
High — 50.9
Low — 37.4

※なお,ISM非製造業景気指数はCleveland Fedではグラフが無かったのでテーブルで数値を書きました。

10月のISM非製造業景気指数のほうは予測以下ですし,前月より小幅下落して何とか50.0の景気拡大と後退の境目だけはクリアしています。でも,製造業景気指数と合わせて考えると,雇用統計の改善がゆっくりなので国内需要の回復は遅く,主に海外需要を満たすための製造業に引っ張られて景気が回復している状況が分かります。内訳を見ると非製造業景気指数の中で住宅建設の寄与度が上昇しているようです。

なお,英国の同様の指標は,

10月CIPS非製造業PMI(購買担当者指数): 56.9 (予測:55.5,前月:55.3)

で,こちらは予測を上回りかつ前月の指標も上回っていますので,ポンド高への応援となるでしょう。システムのほうはポンド円のロングをスタートさせています。

10月ISM製造業景気指数は予測以上

Stocks Gain as Manufacturing Advances; Treasuries, Dollar Fall
10月ISM製造業景気指数: 55.7 (予測:53.0,前月:52.6)



10月のISM製造業景気指数は力強く上昇しましたね。全てのアナリストの予測を上回っています。ProductionとEmploymentが特に強かったので来月以降も良い循環が見込めると考えてます。

休暇中だったので一日遅れのエントリであり,市場の反応は見ておりません。指標自体はドルにとっては悪い話ではありませんが,IMFがインドに金を大量に売ったというニュースが流れて金価格が1080ドルを越えて1100ドルを目指しています。

Gold Climbs to Record as India’s Central Bank Buys IMF Bullion

現在はこちらの金価格のほうが要注意ですね。

ドル円・ユーロドル・ドルスイスの展望【09/11/02の週】

今週は月曜日から出かけるので展望レポートをいつもより少し早出しさせていただきます。(いつもが遅すぎるという意見もあるが…)

先週は26日の月曜日のNY時間から急にドルが強くなり,同時に原油価格も金価格も高値圏から下落し始めました。例年,ハロウィーンのころになると米系企業の決算発表もほとんど済んで,ヘッジファンドもトレード益を清算しますし,実需の上でも海外での利益をドルに換えて本国にレパトリエーション(還流)する企業が多いことが知られています。2005年には本国投資法があって税制上の優遇のためにより顕著でしたが,そういうアノマリをトレードに応用する輩も毎年少なからずいるので今は妙にドルが強くなる時期でもあります。では,ドル円だけが円高になるのはなぜかって?ハイ,それは余ったドルのキャリーの対象に日本市場がなっていないからですね。というわけで,今の円高は日本経済にとって良くない円高です。



ドル円は,予想が92.80円-90.70円で,実際は92.313円-89.912円(終値90.010円)でした。上限も下限も50PIPS-70PIPSドル高に外してしまいました。ある程度のレパトリの予感もあったのでドルの強含みを考慮に入れていたのですが,対円のドル安の現象は起きてみて初めて説明が付くという体たらくです。ちなみに2008年のドルのレパトリは信用不安の影響もあり10月終わりなどではなく9月の始めにおきましたから,全てのアノマリは,予感半分・現実半分で捉えておかないといけませんね。下限については,テクニカルでは現在の円高の動きは89円台のどこかで止まると見ています。上限については,91円直下あたりで多少もみ合いそうですが,手仕舞い相場が近づくと,勝っていてもそれ以上売り乗せをせず負けていれば損切りをして静観する動きが顕著になりますので強いレジスタンスレベルにはなりません。よって,今週の上値は91.20円程度と予測し,下値は89.30円程度と予測します。



ユーロドルは,予想が1.5110ドル-1.4880ドルで,実際は1.50623ドル-1.46832ドル(終値1.47150ドル)でした。下限は大幅にレパトリの影響を受けて外してしまい,上限も50PIPS程度ユーロ高に外しました。先々週までユーロ高の傾向は続いていましたので,ユーロ・ロング派にとってはタレブの「ブラックスワン」の出現です。しかし,これまでのロングの値幅からすれば高値圏で買い乗せしたとしても1.48ドル台前半で利益確定と同時に損切りも行なっていれば良いだけのことです。再び1.45ドル-1.48ドルのレンジ相場に再突入した状況ですので,上限については,1.48ドル台半ば程度と予想しており,下限については,断続的に起こるレパトリの影響を考えても今週は1.44ドル台後半で止まると予想しています。よって,今週の上値は1.4850ドル程度と予測し,下値は1.4470ドル程度と予測します。



ドルスイスは,予想が1.0140フラン-1.0005フランで,実際は1.02850フラン-1.00503フラン(終値1.02580フラン)でした。上限はこちらもレパトリの影響で大外しですし,下限はパリティには達せずに50PIPS程度フラン高方向に予想を外しました。26日の月曜日のドルの上昇はドルスイスとユーロドルに対して特に顕著でしたので,先週のドル上昇のきっかけが金価格の反転下落であった可能性もありますし,同日ルーブルが対ドルに対して高値更新したのでその達成感で手仕舞いがなされたなどという噂もありました。しかし,既に引き金が引かれたのですからその後の変化はべき乗分布のように加速度的に起きる可能性があります。今後もフラン安には注意が必要です。下限については,1.02フランの半ばまで上昇した現在,再び1.00フラン台に下落する可能性は薄いと見て1.01フラン台半ばでのサポートを期待しています。上限については,10月前半の1.03フラン半ばでのレジスタンスが当面の目標ですが,ユーロドルと同じようにややドルを強含みに見ますので,1.04フランを少しは越えるかもしれません。よって,今週の上値は1.0420フラン程度と予測し,下値は1.0160フラン程度と予測します。

さて今週のイベントですが,11月3日のISM製造業景気指数,豪中銀政策金利決定,11月5日のISM非製造業景気指数,FOMC,ECB政策金利決定,BOE政策金利決定,11月6日の10月米失業率,10月米非農業部門雇用者数(NFP)などと経済指標と金融政策イベントの目白押しです。できることなら週前半で利益確定・損切りをしておいたほうが,優雅な1週間を過ごせるでしょう。手仕舞いの季節はほとんどの人にとって手仕舞いの季節であるべきなのです。

中央銀行たるもの,政権との距離はかくあるべし

おはようございます。休日ということで早めに起きてしまいました。

昨日の日銀金融政策決定会合では,企業金融支援特別オペレーション(特オペ)の「3月末までの期間延長」+終了時期宣言という合わせ技が個人的には意外でした。

また,今回の記者会見では,記者さんたちが民主党政権との距離を測るべくところどころ地雷原を総裁への質問の中にちりばめておられますが,白川総裁のそつの無い答えぶりは,「中央銀行たるものは政権との距離はこのように保つべし」という見本のようなもので,福井前日銀総裁のような政策へのリップサービスもなく完璧でしたね。ちょっと挙げておきたいと思います。

今日の早いうちには日本銀行側から白川総裁記者会見の内容が公式発表(11月2日付け追記)されると思いますが,それまでは産経新聞の記者会見の一問一答をご覧ください。

【地雷の質問1】
民主党政権交代で初めての展望リポート。政権与党はさまざまな施策を打ち出しているが、反映されているのか
→直球ですが意地の悪い質問です。

【総裁の答え1】
「展望リポートはその時点で利用可能な情報を取り込みながらつくっている。補正予算の見直しもある程度考慮に入れた上で作成した。ただ、民主党のマニフェストに盛り込まれている政策という意味では、今回のリポートには盛り込んでいない」
→まあ,前政権の補正予算規模が変わるのですからその見直しの考慮は当然でしょうが,マニフェストが何も実現されていないという事実を記者の側から引き出すべくわざと質問を誘導したような回答ですね。

【地雷の質問2】
郵政民営化を前任の福井俊彦総裁は官から民への資源配分を評価されていたが、白川総裁のご見解は
→福井前総裁のリップサービスを引き合いに出して白川総裁のスタンスを問うています。ここは答弁にもいっそうの用心深さが求められるところです。

【総裁の答え2】
「(政権への)注文ではなくて感想。郵政民営化の見通しは政府によって決まっていくことで、現時点のコメント差し控えたい。ただ、郵政事業の国民生活における位置付けや、これへの公的関与をどう考えるべきかは、さまざまな観点からの検討を踏まえた上で、国民合意に委ねられる」
→誰が見ても国営化への逆進だろうと思われる「民営化の見通し」についても将来を予見せずコメントを控えたのはセオリーどおりですが,問題が郵政民営化自身ではなくユニバーサル・サービスそのものであることを見抜きながらも,選挙による政権選択の国民合意にゲタを預けたのは見事です。

【地雷の質問3】
新政権が発足してから2回目の決定会合。与党との情報公開や意見交換の方法について、新たな提案などはあったのか
→政権側からの定期会合の提案などの報道を踏まえ,この質問はその言質をとろうとしていますね。

【総裁の答え3】
「金融政策について日本銀行は、政府と連絡を密にし、意思疎通を図っている。その上で、政府関係者の政策決定会合への出席という透明性の高い仕組みが用意され、役割を果たしてきた。政府との間で意見交換をさまざまの場で行うよう、努めている。具体的な提案が政府からあったわけではないが、今後とも、十分に意思疎通をはかっていく」
→ここでは,政府側からの提案に対してとぼけるという高等戦術で余計な政府提案が一人歩きしないようにしています。提案がなかったことにすれば,現政権が提案撤回の機会を持つこともなくそのダメージも最小限で済みます。要するに今の定期会合制度でも十分だろうと言いたい訳ですね。分かります(笑)

【地雷の質問4】
展望リポートをマニフェストには織り込んでいないとおっしゃったが、実行されないものが多いからという考えか
→前述の総裁の答え1をふまえた上で記者のほうが言わされたような質問です。当然この質問への答えは総裁としては想定内のことでしょう。

【総裁の答え4】
「そういうことではまったくない。マニフェストは私もそうですけど、政策委員会のメンバー、きちんと読んでいる。(展望リポートの作成には)経済の見通しを数値に置き換える綿密な点検作業が必要。民主党政権のマニフェストを最終的に数字に置き換えていくためには、現時点で材料がないだけ。(不確実性が高いですとか)そういう評価ではない」
→ここでも,マニフェストが実行されるかされないかの予測は避けています。「マニフェストの成果が経済状況にどういう影響を与えるかを今後点検していく」とも答えず「現時点で材料がないだけ」とは考えられるもっとも穏便な回答です。あえて政府側に擦り寄ることも反発することもない模範解答ですが,今のうちは政府とこれぐらいの距離を保っていたほうが良いと思います。

※今回の慎重な記者会見では,政府サイドの亀井某氏にも反論されることはないと思います。まあ,彼が週末にテレビに出てきて何か言うのはデフォでしょうがね。

2009年第3四半期米GDPは上昇

Economy in U.S. Expands for First Time in a Year (Update2)

2009年3Q米実質GDP(前期比年率): 3.5% (予想:3.2%,前期:-0.7%)
2009年3Q米個人消費: 3.4% (予想:3.1%,前期:-0.9%)
2009年3Q米GDPデフレータ: 0.8% (予想:1.4%,前期:0.0%)

なかなか堅調なGDPですので,もう一押しの財政出動を2010年まで続けてもらって米景気回復の勢いを継続してもらいましょう。財政赤字は続いていますが,なにせ他国のことですからあまり深刻に考えないでいます。(こういうのを逆ホームバイアスと言うのかな。)

また,記事の中で言及されていて興味深いのは,

■ ドル安で輸出が後押しされているのにも関わらず,輸入の伸びの方が輸出よりも速い
■ S&P500に含まれている企業の85%が予想より収益を多めに計上した

ことです。さすが米国は現時点でも世界一の経済規模の国であることは間違いありません。結果だけ見ると,昨日のGoldman SachesのGDPの(3.0%から2.7%への)下方修正予想は何だったのかという感じです。

Canadian Stocks Fall as Goldman Sachs Cuts U.S. Growth Forecast

市場を操作して押し目をねらうなんてとんでもない話です。この手の予想(特にGSの予想)はポジショントークであることをいつも念頭におきましょう。

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